ソニーは、完全ワイヤレスイヤフォンのフラグシップモデル「WF-1000XM6」を2026年2月27日に発売する。価格はオープン価格となる。カラーバリエーションは、ブラックとプラチナシルバーの2色を展開する。今回の新型モデルは「第6感、揺さぶる」というコンセプトを掲げ、ハードウェアの刷新と世界的なエンジニアとの共創によって音質の極致を追求した。
音質および信号処理の基幹部分には、新開発のプロセッサ「QN3e」を採用した。このプロセッサは、前世代のモデル(WF-1000XM5)に搭載していたチップと比較して約3倍の処理速度を誇る。また、DAC(デジタル・アナログ・コンバーター)性能の向上により、音の解像度が大幅に上昇した。これに統合プロセッサ「V2」が連携し、32bitの高品質な音声信号処理を実現している。
この高度な信号処理能力は、微細かつ豊かな音の表現を可能にする。ドライバーユニットには、8.4mmの新開発専用設計モデルを導入した。このユニットは、エッジ部分に特許出願中の「ノッチ形状」を取り入れており、伸びのある高音域の再生能力を発揮する。ハードウェアの進化により、音楽の細部までを忠実に描き出す土台が整った形だ。音作りにおいては、スタジオモニターのようなナチュラルな質感を追求している。
今回の音質設計の工程では、世界的に著名な4人のマスタリングエンジニアが深く関与した。エンジニアが作業を行う実際のスタジオに試作機を持ち込み、マスタリング用のモニタースピーカーと音を聞き比べながらリアルタイムで調整を行うという、踏み込んだ共創プロセスを実施した。この取り組みにより、クリエイターがスタジオで意図した音場感や音圧感を、リスナーの耳元で忠実に再現することが可能となった。
共創プロジェクトには、グラミー賞受賞歴を持つランディ・メリル(Randy Merrill)氏が参加した。メリル氏は、テイラー・スウィフトの「Getaway Car」やアリアナ・グランデの「7 rings」を手掛けている。また、日本のアーティストでは米津玄師の「IRIS OUT」やKing Gnuの「It's a small world」、嵐の「Whenever You Call」などを担当した経歴を持つ、現代の音楽シーンをリードするサウンドを知り尽くした人物だ。
続いて、ヒップホップやEDM、メタルなど多岐にわたるジャンルで活躍するクリス・ゲーリンジャー(Chris Gehringer)氏も、このチューニングに参加した。ゲーリンジャー氏はレディ・ガガの「Born This Way」やエド・シーランの「BLOW」を担当している。さらに、Mrs. GREEN APPLEのベストアルバム「5」全曲や、DREAMS COME TRUEのベストアルバムのマスタリングも手掛けた実績を持つ、強力なサウンド作りに定評のあるエンジニアだ。
空間音響や映画音楽を得意とするマイケル・ロマノフスキ(Michael Romanowski)氏も知見を提供した。同氏は、アリシア・キーズの「If I Ain't Got You」の他、「スター・ウォーズ」エピソードIV、V、VIや「DUNE/デューン 砂の惑星」のサウンドトラックにおけるDolby Atmos版の制作を手掛けた。彼の参加により、単なるステレオ再生を超えた映像作品のような没入感や、空間的な広がりの再現性を強化している。
そして、名盤の復刻などを手掛けるマイク・ピアセンティーニ(Mike Piacentini)氏も名を連ねる。ピアセンティーニ氏はボブ・ディランの「Blowing In The Wind」やエルヴィス・プレスリーの歴史的名曲から、ザ・チェインスモーカーズのヒット曲までを担当した。新旧の音楽が持つ本来の響きを正確に捉える彼の耳が、今回の製品の音作りを支えている。あらゆる時代の音楽を自然に鳴らし切る調整が施された。
ソニーでは、音質とノイズキャンセリングの設計担当者が、これらのエンジニアから得られた多角的な知見を統合し、最終的な音作りを主導した。このプロセスを経ることで、特定のジャンルに偏らずに、あらゆる楽曲において自然なサウンドチューニングを完成させた。音質を支える基礎技術として、高音質コーデックLDACやAI技術を活用した高音質技術DSEE Extreme、次世代規格のLE Audio(LC3)も網羅している。
ノイズキャンセリング機能については、新開発プロセッサQN3eの高速処理と増強したマイクシステムにより、前モデルWF-1000XM5比でノイズを25%低減させることに成功した。また、装着状態や周囲の環境をリアルタイムに分析して消音パフォーマンスを最適化する「アダプティブNCオプティマイザー」を搭載した。外音取り込み機能についても、より自然な聞こえ方になるよう、全体的なチューニングに再調整を施している。
本モデルでは、遮音のアプローチにおいて従来の手法を抜本的に見直した。物理的な密閉による遮音をあえて適度に抑えることで、装着時の圧迫感や体内ノイズを解消する狙いだ。その分を、プロセッサによる電気的な処理で補い、ノイズを徹底的に打ち消す構成を採った。これにより、高い消音性能を維持しながら、長時間着けていても疲れない自然な装着感と、開放感のある音作りを両立させている。
イヤフォン本体のデザインについては、装着快適性の向上を目的に大幅な見直しを図った。本体幅は前モデル(WF-1000XM5)から11%ほどスリムになった。耳の複雑な形状に配慮した「エルゴノミック・サーフェス・デザイン」を継続採用しつつ、耳輪脚や対珠といった部位への接触を最小限に抑える設計とした。これにより、長時間使用しても痛みや違和感が生じにくい、軽快な装着性を実現している。
さらに、本体には物理的な通気孔を設ける新しい構造を導入した。これはカナル型イヤフォン特有の課題である、自身の足音やそしゃく音が響く「体内ノイズ」を低減するための仕組みだ。空気の通り道を適切に確保することで、密閉型特有のこもり感を解消し、より開放的な聴取体験を可能にした。小型化と新構造の融合により、装着時の物理的なストレスを最小限に抑えることに成功している。
通話品質の面では、ソニー製完全ワイヤレスイヤフォンとして過去最高をうたう性能を確保した。片側に搭載するマイクの数は、前モデルの1個から2個へと倍増させた。これに骨伝導センサーと、AIを用いたビームフォーミングノイズリダクションアルゴリズムを組み合わせている。騒音環境下でも、ユーザーの声を背景雑音からクリアに分離して通話相手へ届けることが可能となった。
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