ソニーは1月22日、周囲の音を聞きながら音楽を楽しめるオープンイヤー型の完全ワイヤレスイヤフォンとして「LinkBuds Clip」を発表した。本製品は、耳をふさがない「イヤカフ型」のデザインを採用し、高い装着性と音質、そして高度な通話性能を両立させている。発売日は2月6日を予定しており、市場推定価格は3万円前後となる見込みだ。
近年、オーディオ市場では、コンテンツを楽しみながら周囲の状況も把握できる「ながら聴き」への需要が急速に高まっている。これに応える形で登場したLinkBuds Clipは、同社の「LinkBuds」シリーズが掲げる「オンラインとオフラインをつなぐ」というコンセプトをさらに進化させた一台だ。ボディーカラーは、現代的なライフスタイルになじむようにと、ラベンダー、グレージュ、グリーン、ブラックの4色を展開する。
自分好みの外観にカスタマイズできる専用の「ケースカバー」と「フィッティングクッション」のセットもイヤフォンと同日に発売(市場推定価格3900円前後)。フィッティングクッションはイヤフォンが耳から外れないように装着性をさらに高めるもので、イヤフォン本体にかぶせる形で使用する。
LinkBuds Clipの最大の特徴は、徹底的に追求された装着感にある。ソニーが長年蓄積してきた世界各国の耳形状の3Dデータを活用し、多くのユーザーにとって「痛くなりにくく、疲れにくい」設計を実現した。本体質量は片耳あたり約6.4gと軽量で、耳の中に深く入れ込まない形状でありながら、激しい動きでも脱落しにくい安定したホールド力を誇る。これにより、長時間の会議や家事、さらにはランニングといったスポーツシーンまで、場所を選ばず1日中着け続けられる仕様となっている。
音響面では、オープンイヤー型の弱点とされがちな音質を、独自の技術で補完している。圧縮音源を元の音源に近い質感へとアップスケーリングする「DSEE」を搭載。さらに、従来の5バンドから10バンドへと細分化されたイコライザーにより、ユーザーの好みに合わせた詳細な音質カスタマイズが可能となった。リスニング環境に合わせて、標準的な音質の「スタンダード」に加え、駅の構内など騒がしい環境で中高域を強調して人の声を聞き取りやすくする「ボイスブースト」、そして電車内などで気になるシャカシャカ音(特定の周波数)を物理的に抑制する「音漏れ低減」の3モードを専用アプリ「Sony Sound Connect」で切り替えられる。
ビジネスユースにおいて特筆すべきは、その圧倒的な通話品質だ。周囲の雑音を排除する2つのマイクに加え、自分の声の振動のみを直接捉える「骨伝導センサー」を新たに採用。これにAIの機械学習によるノイズ分離アルゴリズム「高精度ボイスピックアップテクノロジー」を組み合わせることで、騒がしい屋外やカフェの中でも、相手には自分の声だけを極めてクリアに届けることができる。
スマートな機能性も充実している。Sony Sound Connectアプリとの連携により、ユーザーの行動や時間帯を感知して最適な音楽体験を自動提供する「Scene-based Listening」機能を搭載。また、2026年春のアップデートでは、周囲の騒音レベルに合わせて音量を自動調整する「アダプティブボリュームコントロール」への対応も予定されている。接続性についても、例えばスマートフォンとPCの2台のデバイスに同時接続できるマルチポイント機能や、Google アシスタント、Gemini、Alexaといった主要な音声アシスタントをサポートし、スマートフォンを手に取ることなく多くの操作を完結させられる。
本体のみで約9時間、充電ケースを併用すれば最大約37時間の連続再生が可能だ。3分の充電で約60分の再生ができる急速充電機能は、忙しい朝の心強い味方となるだろう。ケース自体の充電はUSB Type-Cケーブルで行える。さらにIPX4相当の防滴性能を備えており、突然の雨や汗を気にせずに使用できる。操作系は本体やバンド部分をタップするだけの直感的なインタフェースを採用しており、手袋をしている際や手が離せない状況でも操作が可能だ。
LinkBuds Clipが想定するターゲット層は幅広い。家事や育児の最中に家族の声を聞き逃したくない人、オフィスで同僚との会話を維持しつつBGMを流したい人、あるいは移動中に周囲の交通状況を把握して安全を確保したい人など、現代人の抱える「耳をふさぐことによるリスクや不便」を解消できるような製品となっている。耳への負担を軽減したいという健康志向のユーザーにとっても、従来のインイヤー型に代わる有力な選択肢となるはずだ。
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