ソニーが2月25日に発売した「LinkBuds」(WF-L900)(2万3000円前後)を入手したので、実機画像を交えつつ、実際の使用感をレポートする。
まずはLinkBudsの特徴をおさらいしておこう。
LinkBudsは、耳をふさがない構造であることが最大の特徴で、イヤフォンを装着した状態でも周囲の音が聞こえるようになっている。装着する際は、耳の穴に直接入れ込まずに、耳甲介(じこうかい)と呼ばれる耳のくぼみに収めるように使う。
SNSを見渡すと「付け方が難しい」「付け方が分からない」といった意見が多数投稿されている。
筆者も、使い始めは「ん? ここかな?」とちょうどいい位置を探ってみたが、しっくりこなかった……。耳の大きさや形は人それぞれなので、このようなことはどのイヤフォンも起こり得る。筆者のように独特な形状をしているLinkBudsの装着方法が分からなければ、装着方法を解説したソニー公式の動画を見るといいだろう。
正しい装着方法を確認したら、サイズが異なる5種類のフィッティングサポーター(本体に付属)もチェックしてみよう。これは、耳とイヤフォンとの隙間を埋めるためのもので、購入時(工場出荷時)にはMサイズのフィッティングサポーターが左右のイヤフォンに装着されている。無理に引っ張らず、少し浮かせれば取り外せる。イヤフォンにある突起部分とフィッティングサポーターの穴の位置を合わせて、フィッティングサポーターを差し込む。
あらかじめ自分に合うサイズのフィッティングサポーターを選ばないと、首や頭を振ったときに外れて、紛失してしまう……なんてことにつながる恐れがある。フィット感を確かめておこう。
いざ装着してみると、突起があたって痛いわけではないが、しっくりくるようなカナル型とは違い、圧迫感がない。初めて装着したときは違和感があったが、それも使ううちに慣れていった。
マスクの着脱時にひもが引っ掛かって、イヤフォンが落ちることはなかった。この独特な形状と、小型であることがいい意味で起因しているのだろう。
また、リングにひもを通して使わないときは首からぶら下げて使えるようにできる、この形状を生かしたアクセサリーが欲しかった(ケースにはしまいにくくなるが……)。この辺りはもうひと工夫あってもいいだろう。
気になる音質について、結論からいえばクリアそのもの。
軽快かつリズミカルなサウンドを聞くなら、LinkBudsがピッタリかもしれない。
ただ、全体的な迫力という点では、もの足りなさを感じてしまう。オーケストラで構成されるクラシックや、映画音楽(いわゆるオケもののサウンドトラック)を聞いてみると迫力に欠ける。
とはいえ、音場が狭すぎるわけではなく、小型ながらも音圧がそれなりにでていると思う。
ボーカルやバックコーラスが入ったいわゆる歌ものはどうかというと、それも聞き取りやすかった。楽器だけでなく、人の声もしっかりと聞き取れるので、ラジオ、オーディオブック、ポッドキャストなどのコンテンツ再生にも向くだろう。
それに作業をしながら、BGMを流しっぱなしにする、なんて使い方であれば、満足できそうだ。
ここまでクリアに聞こえる理由は何か。
ソニーは、リング型(12mm径)ドライバーユニットの他、「統合プロセッサーV1」の搭載で高S/N比とゆがみの抑制を両立し、圧縮音源を原音に近い広がりのある音で再現できる「DSEE」を組み合わせたからだ、と説明している。
耳をふさがない構造は音質だけでなく、イヤフォンそのものの使い方を大きく変えた――。
これまでのイヤフォンは、人と話すときにわざわざノイズキャンセリングや外音取り込みを切り替えたり、耳から外したりしなければならなかったが、LinkBudsはBGMを流しながら、外さずに人と話したい、なんて要望にもしっかりと応えてくれる。
さらに、自分の発した声と相手の声がこもらず、通話やオンライン会議の際もクリアにお互いの声が聞き取れた。これは、5億を超えるサンプルを機械学習で解析して作られたAI(人工知能)により、装着者の声とそれ以外の環境ノイズを分離し、装着者の声をクリアに抽出するアルゴリズムが搭載されているからなのだろう。
音漏れについてもどの程度なのかを確かめてみた。隣に家族に来てもらい試した限りでは、iPhoneの音量を半分ほどからマックスにすると、高音域(歌ものならメロディーが、リズミカルな構成ならパーカッション)がハッキリと聞こえたとのこと。
電車の中では走行音にかき消されて、いうほど気にはならないとのことだったが、それでも音量に気を付けて使った方がよさそうだ。
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