接続の安定性については、内蔵アンテナのサイズを従来比で約1.5倍に拡大した。アンテナの配置とアルゴリズムの改良を行い、電波が混雑した場所での音途切れを抑制する。都市部の駅や人混みといった、ワイヤレス通信にとって過酷な環境下でも、安定した接続を維持する設計となっている。利便性と信頼性の両面で、フラグシップモデルにふさわしい性能を追求した。
専用の管理アプリ「Sony | Sound Connect」を通じて提供する機能も拡充した。操作のカスタマイズにおいては、左右のイヤフォンそれぞれで「タップ」「ダブルタップ」などのアクションに対し、再生・一時停止や音量調節、外音コントロールなどを自由に割り当てることができる。音質調整用のイコライザーは、従来の5バンドから10バンドへと細分化し、ユーザーが好みに合わせたより精密な音作りを楽しめる。
リスニングモードには、従来の「スタンダードモード」の他に、新たに「BGMモード」を追加した。この機能は、音楽が少し離れたスピーカーから鳴っているような、空間的な距離感をシミュレートするものだ。カフェなどで流れる音楽のような「ながら聴き」の体験を再現する。外音取り込み機能と組み合わせることで、周囲の音を自然に聞き取りながら、音楽を背景として流す用途に適する。
BGMモード内では「マイルーム」「リビング」「カフェ」の3つのパターンを選択できる。これにより、使用場所や気分に応じた最適な空間演出が可能となった。なお、360 Reality Audioには対応するが、一部ヘッドフォンモデルに搭載されている「360 Upmix for Cinema(シネマモード)」は、本機においては非対応となる。
マルチポイント接続機能には、利便性を高める「後勝ち設定」を導入した。2台のデバイスを同時接続している状況において、後から再生操作を行ったデバイスの音声を優先して出力する仕様となっている。例えばPCで音楽を聴いている際にスマートフォンの動画を再生すると、自動でPC側の音声が停止し、スマートフォン側に切り替わる。動作はアプリ設定により変更も可能で、ユーザーのスタイルに合わせた運用ができる。
聴覚保護と電力管理に関する新機能も実装した。「セーフリスニング2.0」は、WHO(世界保健機関)が定める適正な音圧レベルに基づき、過大な音量での再生が続いた場合に自動で音量を抑制し、耳への負担を軽減する機能だ。利用にはアカウントへのサインインが必要となる。また、音声でイヤフォンを操作する「ボイスコントロール」モードも新たに搭載した。これらにより、安全かつハンズフリーな利用環境を提供する。
サードパーティー連携としては、Gemini、Googleアシスタント、Fast Pair、Swift Pair、Eye Naviをサポートしている。さらに、バッテリー寿命を延ばす「いたわり充電」機能も進化させた。満充電を80%で停止させることで、リチウムイオンバッテリーの劣化を抑制する。長期にわたって製品を使用したいというユーザーのニーズに応える設計だ。
「自動パワーセーブ」機能は、バッテリー残量が20%以下になった際、DSEE Extremeやイコライザーといった消費電力の大きい機能を自動的にオフにする仕組みだ。連続音楽再生時間は、ノイズキャンセリングオン時で最大約8時間、オフ時で最大約12時間を確保している。5分間の充電で約1時間の再生が可能な急速充電機能も備えた。本体はIPX4相当の防滴性能を有し、ソニー製スマートフォン「Xperia」の一部機種からの「おすそわけ充電」にも対応する。
製品の主要な仕様は、型式が密閉型、対応コーデックがSBC、AAC、LDAC、LC3となる。ワイヤレス通信方式はBluetooth標準規格に準拠する。重量は片耳あたり約6.5g、充電ケースは約47gとなっている。アンテナの大型化に伴う接続性の改善や、10バンドへと拡張したイコライザーによる柔軟な音質調整、バッテリー寿命を延ばす機能など、設計の随所に実用性への配慮が見られる。
ここまでお伝えしたように、WF-1000XM6は、ソニーが長年培ってきた音響技術と、最新のデジタル信号処理技術、さらに世界トップクラスのクリエイターの感性を高度に融合させた。こだわりの音質だけではなくノイズキャンセリング性能の向上のおかげで、あらゆる場所でアーティストの意図する音を耳元へダイレクトに伝える製品といえる。
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