NTTドコモ、KDDI、沖縄セルラー電話、ソフトバンク、楽天モバイルの5社は7月8日、「060」で始まる携帯電話番号の提供開始時期の延期を発表した。当初は7月以降の順次開始を予定していたが、新たな時期は未定だ。
林芳正総務大臣は7月10日の閣議後記者会見で、延期の要因として、060番号を表示できない一部の携帯電話端末でソフトウェアの更新が必要になっていることと、通信事業者と緊急通報を受け付ける消防本部との接続でシステム改修が進められていることを挙げた。
制度上の準備は2024年12月20日の電気通信番号計画の変更で整い、開始予定まで18カ月の期間があった。それでも間に合わなかった延期の中身を、割り当ての現状と過去の増設の記録から読み解く。
総務省の電気通信番号指定状況(2025年7月1日時点)によると、060の番号は既に5社への指定が済んでいる。060-10で始まる番号はソフトバンク、060-11はKDDI、060-12は楽天モバイル、060-13は沖縄セルラー電話、060-14はNTTドコモという並びだ。どの会社がどの060番号を使うかは決まっている。動いていないのは、その番号あての通話を全国のネットワークで正しくつなぎ、受ける側の準備を整える作業だだ。
残る作業は2つに分かれる。端末側では、060を携帯電話番号として扱えない機種のソフトウェア更新が要る。ネットワーク側では、緊急通報の接続改修が進む。110番や119番への通報は060にも既存の携帯電話番号と同じ条件で課されており、通報を受理する消防本部側との接続まで対応が必要になる。
大臣会見で消防本部側の対応状況について問われた林大臣は、詳細は担当部局に確認してほしいと述べるにとどめている。消防本部で必要となる改修の具体的な内容や、全国の消防本部での対応の進展は公表されていない。NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルの4社は、総務省の要請と大臣の発言を認識し、必要な対応を進めているとしたが、内訳と進展の詳細は回答を差し控えている。
番号帯の増設では、制度改正の後に事業者のシステム改修期間が置かれる。070が携帯電話に開放されたときは、2012年12月の電気通信番号規則の改正から2013年11月の利用開始まで約11カ月だった。IoT機器用の020番号は、2017年1月の施行から同年10月の提供開始まで9カ月で立ち上がっている。060は2024年12月の告示変更から当初予定の7月まで18カ月と、過去2回より長い準備期間を確保していたが、それでも足りなかった。
背景には、対応範囲の広がりがある。総務省が2024年11月に公表した意見募集の結果では、NTTドコモが、携帯電話会社だけでなく固定電話事業者にも設備対応が必要で、音声サービスを提供する事業者全体の対応可能時期を踏まえて開始時期を決める必要があると指摘していた。070の開放時には、構内交換機(PBX)が070の4桁目で携帯電話とPHSを区別していた機能が成り立たなくなることも議論になった。番号の形を前提に組まれたシステムの洗い直しは、増設のたびに繰り返されてきた。
総務省の資料によると、090と080は全て通信会社に割り当て済みで、残るのは070だけだ。番号企画室に取材したところ、070の未割り当ては7月1日時点で約460万番号だという。2024年11月ごろには約530万あり、1年8カ月ほどで約70万番号を通信会社に渡してきたペースになる。
ただし、これは国から通信会社へ配る前の在庫の話だ。利用者に実際に提供されている070/080/090の番号は2025年3月末時点で約1億8835万で、2億7000万の容量に対して3割ほどの余裕がある。直近1年の増加は約52万にとどまる。林大臣も会見で「携帯電話番号の枯渇が直ちに生じるものではなく、携帯電話の利用者に影響が及ぶものでもない」との認識を示した。
060の開放は、その余裕があるうちに棚を増やす施策だ。060はもともと固定電話と携帯電話を融合するFMCサービス用に確保され、使われずに残っていた番号帯で、2019年の総務省の研究会が、指定数が容量の相当数に達すると見込まれる時期の2年程度前に開放を検討すると決めていた。開放されれば9000万番号が加わり、総数は3億6000万に広がる。番号帯や桁数の変遷は、2024年10月掲載の解説記事が詳しい。
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利用者がすることはない。今の070/080/090の番号は延期後も変わらず使え、新規契約への割り当ても現在は070/080/090で行われている。新規契約への影響について、取材に回答した4社は、番号の割り当てに影響はないとそろって答えた。
新たな提供開始時期について、林大臣は各事業者が判断するものとして見通しの提示を控えつつ、必要な対応が2026年度末までに取られた後、サービスの提供が順次始まるよう各社に促していると述べた。
番号企画室によると、2026年度末という時期は、各社が利用者の増加などを踏まえて総務省に寄せている追加の番号指定の要望を合わせ、この時期までに対応を促す必要があると判断して設定したものだという。一方、4社の回答では開始時期はいずれも未定だった。
ドコモ、KDDI、ソフトバンクは番号の枯渇前に開始できるよう対応を進めるとし、楽天モバイルは090/080/070の割り当てを優先した運用をしていると説明した。2026年度末に間に合うかどうかを明言したキャリアはない。4社は、提供開始が可能となる時期が確定し次第、改めて案内するとしている。
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