楽天モバイルが“値上げできない”理由 低価格と相反するネットワーク改善では難しいかじ取りも石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)

» 2025年10月04日 10時11分 公開
[石野純也ITmedia]

電気代を節約するRICを導入、調達コストも競争で抑える

 とはいえ、これはサービス開始当初からの話。楽天モバイルも本格サービス開始から既に5年以上がたっており、その間に上がったコストをどう吸収してきたかを説明し切れてはいない。2つ目に重要になるのが、運用コストだ。三木谷氏は、「AIによって稼働率が違う」としながら、次のように話す。

 「稼働率が低いところは、エコモードで運営することで、1年で消費電力を20%削減する。すでに15%程度削減しているが、残りの5%を削減する。他社がなかなかできていないソフトウェア制御をするRAN Intelligent Controller(RIC)があり、Open RAN化していることでこれができている」

楽天モバイル RICを導入したことで、消費電力を1年で2割程度抑えられる見込みだという

 基地局は常時、通電しておく必要があるとはいえ、人が少ない場所などではフルパワーにする必要性がない。これを、遠隔かつAIでコントロールすることで、消費電力を抑えているというわけだ。こうしたコントロールを全体で行えるのは、ネットワークの全てを仮想化しているからこそといえる。

 また、物価高や円安で上がった機器の調達コストも、Open RANによって歯止めをかけているという。三木谷氏は、「1つのベンダーに頼っていると、どうしても価格交渉力が効かなくなる」としながら、「AがダメならB、BがダメならCと、適切な価格で4G、5Gをつなげていくことができる。ソフトウェアを自分たちで開発しているというのも大きな差別化になる」と語る。

楽天モバイル 機器調達に競争原理を入れることで、価格の大幅な上昇を抑制しているとした。これもOpen RANのメリットの1つだ

 三木谷氏によると、楽天モバイルが価格を維持できるのは、「この3つが大きい」という。完全仮想化かつOpen RANに基づいてネットワークを構築したことで、当初の設備投資を抑え、かつ調達コストの上昇を防ぎながら、AIの力を使って運用コストも削減しているというわけだ。三木谷氏は「やせ我慢ではなく、技術的な努力」によるところが大きいことを強調した。

 こうした価格の安さが支持された結果、楽天モバイルの契約者数は現在、930万まで拡大している。三木谷氏は、「何とか年内には1000万契約を達成したい」といい、3カ月で70万契約を上乗せしていく方針だ。10月から開始したRakuten最強U-NEXTも、その一助になる。

楽天モバイル 契約者数は9月に930万を突破した

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年09月21日 更新
  1. 「マイナポータルアプリ」が「マイナアプリ」へ刷新されて何が変わった? メリットや利用方法を解説 (2026年09月20日)
  2. iPhone 18 Proに保護フィルムを貼るとFace ID認証できない不具合 原因は“赤外線カメラの位置” (2026年09月19日)
  3. Androidでおサイフケータイを使いたくない理由 初期化で消えないデータと売却時の落とし穴 (2026年09月19日)
  4. フォルダブル歴5年の筆者も驚いた「iPhone Duo」の完成度 ソフトウェアの力で再定義できるか (2026年09月19日)
  5. 出そろった「iPhone 18 Pro」の価格を4キャリアで比較 ソフトバンクが衝撃の安さ、楽天モバイルが異例の施策 (2026年09月13日)
  6. 「おサイフケータイ」のリセット方法を改めてチェックする(新しめの機種限定) (2026年09月07日)
  7. JR東日本「分かりにくい」新幹線券売機を改善へ なぜ、スマホではなく「駅での最短1分購入」を実現? (2026年07月04日)
  8. iPhone Duo、256GBで36万4800円は妥当な価格設定なのか――アップル離れを招きかねない「既存モデルの価格改定」 (2026年09月20日)
  9. IIJに聞く“eSIMサポート”の裏側 「つながらない」「消した」なぜ起こる? 現場が打つ次の一手 (2026年09月18日)
  10. 望遠レンズを手軽に使える、vivoのカメラフォン入門機「X300 FE」 (2026年09月20日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー