とはいえ、これはサービス開始当初からの話。楽天モバイルも本格サービス開始から既に5年以上がたっており、その間に上がったコストをどう吸収してきたかを説明し切れてはいない。2つ目に重要になるのが、運用コストだ。三木谷氏は、「AIによって稼働率が違う」としながら、次のように話す。
「稼働率が低いところは、エコモードで運営することで、1年で消費電力を20%削減する。すでに15%程度削減しているが、残りの5%を削減する。他社がなかなかできていないソフトウェア制御をするRAN Intelligent Controller(RIC)があり、Open RAN化していることでこれができている」
基地局は常時、通電しておく必要があるとはいえ、人が少ない場所などではフルパワーにする必要性がない。これを、遠隔かつAIでコントロールすることで、消費電力を抑えているというわけだ。こうしたコントロールを全体で行えるのは、ネットワークの全てを仮想化しているからこそといえる。
また、物価高や円安で上がった機器の調達コストも、Open RANによって歯止めをかけているという。三木谷氏は、「1つのベンダーに頼っていると、どうしても価格交渉力が効かなくなる」としながら、「AがダメならB、BがダメならCと、適切な価格で4G、5Gをつなげていくことができる。ソフトウェアを自分たちで開発しているというのも大きな差別化になる」と語る。
三木谷氏によると、楽天モバイルが価格を維持できるのは、「この3つが大きい」という。完全仮想化かつOpen RANに基づいてネットワークを構築したことで、当初の設備投資を抑え、かつ調達コストの上昇を防ぎながら、AIの力を使って運用コストも削減しているというわけだ。三木谷氏は「やせ我慢ではなく、技術的な努力」によるところが大きいことを強調した。
こうした価格の安さが支持された結果、楽天モバイルの契約者数は現在、930万まで拡大している。三木谷氏は、「何とか年内には1000万契約を達成したい」といい、3カ月で70万契約を上乗せしていく方針だ。10月から開始したRakuten最強U-NEXTも、その一助になる。
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