首都圏の駅やスタジアムなどの施設はある種、対策の必要性が明確な場所といえるが、それ以外の細かな場所も、ユーザーの声を拾い、改善のサイクルにつなげていく方針だ。矢澤氏は、「お客さまの声に対して、どれだけ早く電波改善を進めていけるかも重要」と語る。
具体的には、X(旧Twitter)などの「SNSを24時間モニタリングにして、俊敏に対応できるようにしていく」という。楽天モバイルは、オンラインの電波改善フォームを用意しており、そこから声を上げることもできるが、受け身になりがちだ。自らユーザーの電波に関する声を拾いにいく方向に転換したといえる。
矢澤氏は、「このサイクルを進めることで、楽天モバイルにつながりにくいというネガティブなエモーション(感情)にすぐに対応し、ポジティブな気持ちになっていただくとともに、電波改善につなげていく体制を作っていきたい」」と語る。カスタマーサポートと電波改善を一挙に解決していけるというわけだ。
こうした改善を加え、「安くて使い放題なだけでなく、つながりやすさでもナンバーワンを目指す」(同)というのが楽天モバイルの考えだ。ただ、ネットワーク改善をNSAの5Gに頼っている点には不安も残る。同社は、4キャリアの中で唯一、5G SAの商用サービスを開始しておらず、現状の5Gは4Gのアンカーバンドを必要とする5G NSAにとどまる。
5G NSAの場合、帯域の広い5Gに接続する前に、一度4Gを経由しなければならない。4Gのネットワークをそのままつかみ続けることもあり、ここがボトルネックになる恐れがある。4Gが詰まると、せっかくの広い帯域を生かす前に、データ通信が流れなくなってしまう。特に楽天モバイルの場合、4Gの帯域がトータルで20MHzしかなく、全ユーザーが同じ周波数に集中する。
矢澤氏によると、「他社ではそういったことが起こっていると耳にしているが、楽天モバイルではNSA(のアンカーバンド)でのパケ詰まりは、ほとんど起こっていない」というものの、構造的にはユーザーが増えれば増えるほど、そのリスクは高くなる。異なる世代を行き来する複雑性もあり、業界ではより構成がシンプルな5G SAを評価する声は多い。
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