楽天グループは2026年1月、東京都内で楽天市場の出店店舗などを対象としたイベント「新春カンファレンス2026」を開催した。本カンファレンスでは、楽天グループ 代表取締役会長兼社長 三木谷浩史氏が登壇し、グループの中核事業である「楽天モバイル」の最新動向と、それが「楽天市場」をはじめとする各サービスや出店店舗にどのようなメリットをもたらすかについて、具体的な数値や事例を交えて講演を行った。
三木谷氏は楽天モバイルの契約数が2025年12月25日時点で1000万回線を突破したことを振り返る。携帯キャリア事業への参入以来、グループ総力を挙げて取り組んできた成果であり、会場の出店者に対し感謝の意を表した。その上で、次なる目標として2000万回線の達成を掲げた。
楽天モバイルの契約数が2025年12月25日時点で1000万回線を突破した推移を示す。三木谷氏は、右肩上がりの成長を強調するとともに、店舗の協力で約3万回線が生まれた事実を紹介し、連携の重要性を訴えているその一方、多くの企業が直面している「人手不足」という課題に焦点を当てた三木谷氏は、特に地方企業や飲食業界において人材確保が急務となる中、解決策の1つとして楽天モバイルを「福利厚生」として導入する動きが加速していると指摘した。その具体的な成功事例として、鳥取県でコーヒー・茶の製造販売を行う澤井珈琲と、「世界の山ちゃん」を展開するエスワイフードの2社の取り組みを紹介した。
澤井珈琲では、従業員の通信費負担を軽減する目的でモバイルルーターを支給した。同社代表の澤井氏は、従業員が自宅のWi-Fiを解約し会社支給のルーターを利用することで、年間12万〜13万円程度の手取り額が増加すると説明した。この取り組みは、単なる金銭的な補助以上に、通信環境という生活インフラを会社が保証することで従業員満足度を高め、離職防止につなげる効果的な施策となっている。
もう1社のエスワイフードでは、外国人従業員の雇用維持に劇的な効果が見られた。同社代表の山本氏は、外国人スタッフにとって日本での携帯電話契約が高いハードルとなっている現状を指摘した。会社が福利厚生としてWi-Fi環境を提供することで、生活の不安を取り除き、結果として23.5%あった離職率を6.7%まで低下させることに成功した。山本氏は、飲食業界全体で同様の課題を抱えていることから、このモデルを広めていく意欲を示した。
これらの事例を受け、三木谷氏は会場の店舗関係者に対し、モバイル導入が企業のコスト削減と従業員の手取り増を同時に実現し、人材定着に寄与する「最強の福利厚生」であると強調した。
福利厚生による店舗運営の安定化に加え、三木谷氏は楽天モバイルの普及が楽天市場の売上拡大に直結するメカニズムを解説した。データによると、楽天モバイルに加入したユーザーは、加入前と比較して楽天市場での利用金額が約50%増加する傾向にある。三木谷氏は、仮に現在の楽天市場ユーザー2000万人がモバイルに加入すれば、流通総額は自動的に9兆円規模まで伸長し、各店舗の売り上げも飛躍的に向上すると試算した。
楽天モバイル契約者が楽天市場で非契約者より約1.5倍も多く購入するというデータを提示している。三木谷氏は、SPUなどの施策がユーザーのロイヤリティーを高め、結果として店舗の流通総額を押し上げていると説明したまた、長年の課題であった若年層の取り込みについても成果が出ているそうだ。楽天モバイル契約者のうち、20代以下が占める割合は年々増加しており、2025年には29%に達した。楽天市場を利用するモバイルユーザーの内訳を見ても、20代以下のシェアが急拡大している。
楽天モバイルの新規契約者に占める20代以下の割合が29%へ上昇したことを示す。三木谷氏は、将来の主要顧客である若年層を着実に獲得している現状を、楽天市場全体の成長を支えるポジティブな要因としてアピールするこれは、将来的な消費の主役となる若年層を、モバイルを入り口としてエコシステムに定着させていることを意味する。三木谷氏は、モバイル事業の拡大が店舗に恩恵をもたらす構造を「モバイルの成長≒楽天市場の成長」という言葉で表現した。
「楽天モバイルの成長≒楽天市場の成長」というメッセージを大きく掲示している。三木谷氏は、モバイル事業の拡大が主力であるEコマース事業の成長に直結するという結論を端的に表現し、グループシナジーの高さを強調したさらに三木谷氏は、コミュニケーションアプリ「Rakuten Link」が強力なマーケティングツールに変貌している現状を説明した。同アプリから楽天市場への送客数は毎月約5000万回に上り、メールマガジンなど従来のメールマーケティングが効きにくくなる中で、新たな顧客接点として機能している。
特に注目すべきは、店舗がユーザーと直接つながる「公式アカウント」の成果だ。既に100以上の店舗が参加しており、松屋フーズでは新規顧客の45%、アパレル店舗のHUG.U(ハグユー)では37%が同アカウント経由での獲得となっている。
「公式アカウント」を活用した松屋フーズやHUG.Uの成功事例を提示している。三木谷氏は、高い新規顧客獲得率を記録したデータをもとに、店舗が負担なく効果的に情報を発信できるメリットを具体的な数値で証明した。三木谷氏は、普段使いのアプリ内で通知を受け取り、そのまま購入へと進める利便性が、若年層や新規層に「ばか売れ」する要因であると分析した。今後は、アプリ内でのワンステップ購入や配送通知機能などを実装し、スーパーアプリとしての機能を強化していく方針を示した。
2026年の成長戦略として三木谷氏は、店舗に向けた「パートナー向け紹介プログラム」の活用を強く推奨した。店舗が顧客に楽天モバイルを紹介することで、顧客にはポイントが付与され、店舗には活動協力金が入る仕組みだ。これにより、店舗は収益機会を得ると同時に、モバイルユーザー化した顧客の購買単価上昇という恩恵も受けることができる。2026年、楽天モバイルとしては総額2億円相当を還元する「楽天モバイル 最強感謝祭」や、楽天市場で3900円オフなどの特典を用意する「楽天モバイル 超楽天祭」を合わせて年間5回開催する。
三木谷氏は、モバイル事業が新たな収益化フェーズに入ったことを宣言し、店舗と一体となってエコシステムを拡大させ、流通総額10兆円の目標を早期に達成する決意を新たにした。会場のスクリーンに掲げられた「楽天モバイル事業は新たなステージへ」というメッセージからも、楽天モバイルのさらなる成長と意気込みが強く伝わってきた。
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