新「Rakuten Link」の使い勝手を検証する AIアシスタントは便利だが、無料通話を実感しづらい理由(1/2 ページ)

» 2024年12月06日 10時00分 公開
[金子麟太郎ITmedia]

 楽天モバイルのコミュニケーションアプリといえば「Rakuten Link」だ。NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの「+メッセージ」と同じように、SMS/MMSの進化形といえるRCS(リッチコミュニケーションサービス)を用いたサービスで、国内通話がかけ放題となり、テキストメッセージ、画像、ファイル、動画、ボイスメッセージが何度でも無料で送受信できるのが大きな特徴だ。

【訂正:2024年12月6日13時50分 初出時、「Rakuten Linkユーザー同士なら、国内通話がかけ放題」としていましたが、Rakuten Linkユーザー以外でも国内通話は無料です。おわびして訂正いたします。】

RakutenLink RCS AI 「Rakuten Link」は楽天モバイルのコミュニケーションアプリ。RCS(リッチコミュニケーションサービス)を用いたサービスで、テキストだけでなく画像や動画を利用したメッセージの送受信などが可能だ

 そんなRakuten Linkの大きなアップデートとして、楽天モバイルが10月31日に発表したのが対話型AIアシスタント「Rakuten Link AI」の実装だ。これにより、Rakuten Linkユーザーはアプリで悩み相談をしたり、アイデアのサポートを受けたりできるようになった。

RakutenLink RCS AI Rakuten Linkの大型アップデートとして、対話型AIアシスタント「Rakuten Link AI」が実装された。画像はRakuten Link AIの初期画面。利用規約を開いて、できることや注意点を確認できる。下部のテキストボックスにメッセージを入力すれば、いきなりやりとりを始められる

 当初は電話、1対1のチャット、グループチャットを利用できるシンプルなツールだったRakuten Link。2020年6月にはAndroid向けアプリに「ニュース」と「ウォレット」機能が加わり、7月にはiOS向けアプリが登場し、Android向けアプリでビデオ通話が可能になった。2022年7月にはキャリアメールの「楽メール」が利用可能になった。

RakutenLink RCS AI 「ニュース」「ウォレット」は2020年6月に加わった機能。2024年12月現在、ニュースはホームタブから、楽天ポイントなどへアクセス可能なウォレットはウォレットタブから開ける

 その後もアップデートを重ねるごとにRakuten Linkで利用できる機能が充実していくかたわらで、提供開始当初よりも複雑化してきた印象を受けなくもない。この記事ではRakuten LinkのAndroid向けアプリの使い勝手を検証するとともに、Rakuten Link AIを利用した雑感をお伝えしたい。

楽天ポイントのバーコードをすぐに出せる反面、「電話をかけづらくなった」点は否めず

 まずはアプリの使い勝手から見ていく。ディスプレイの下部には左から順にメッセージ、通話、ホーム、楽メール、ウォレットのタブが並ぶ。各アイコンは各機能に素早くアクセスするためにある。

 メッセージのタブは、SMSの送受信を行う他、やりとりの流れを把握できる。通話のタブでは、通話履歴、お気に入り、連絡先などを確認できる。ホームのタブでは、後述するRakuten Link AIにアクセスしたり、ニュースを確認したりできる。楽メールのタブでは、一般的なフリーメールのGmailなどと同じように、上から順に新しい内容が並び、縦にスクロールすれば古いものを確認できる。ウォレットのタブでは、「楽天ペイ」のバーコード、QRコード、楽天キャッシュ、楽天ポイントカードなどを表示できる。

RakutenLink RCS AI SMSの送受信を行えるメッセージタブ。上の3段は楽天グループの広告で、その下が実際の送受信履歴だ

 これらの機能のうち、最も使いやすいと感じるのは、楽天ポイントカードをすぐに表示できる点。ウォレット→「楽天ポイントカード」の欄の「楽天ポイントカードを表示する」をタップすれば、ポイント用のバーコードを表示できる。Rakuten Linkと楽天ポイントのアプリをそれぞれインストールせずに済み、店頭での買い物の際にRakuten Linkだけでポイントを付与してもらえる。

 ポイント用のバーコードを表示するまでの行程としてはアプリを起動し、ウォレットをタップして、「楽天ポイントカードを表示する」をタップするという3段階がある。もちろん、バーコードをすぐに呼び出せた方が便利ではあるが、アプリを別個に入れる必要がないのはいい。

RakutenLink RCS AI ウォレットタブでは楽天ペイ、楽天ポイントなどにアクセスできる。QR/バーコードの表示や、ためた楽天ポイントの確認もできる。ポイントバーコードを表示するには、「楽天ポイントカードを表示する」をタップする
RakutenLink RCS AI ウォレットから楽天ポイントのバーコードにアクセスできるのが便利だ。筆者はこれが便利だと感じ、楽天ポイントアプリを別途入れていない

 一方、何の機能がどこにあるのかが時々分からなくなる。やはり、これだけ多くの機能が1つのアプリに集約していると、いざ各機能を呼び出すときに戸惑う。慣れもあるだろうが、初心者にやさしいUIにしてほしい。

 広告も気になる。ホームタブを開くと広告が大きく表示され、本来、ホームタブで何ができるのかが想起しづらい。メッセージタブにもときおり大きな広告が表示され、メッセージをすぐに送受信しづらい。通話タブの通話履歴の上も細い幅で横長の広告が表示されるが、それでも広告があることに変わりない。これらの広告を時々間違えてタップしてしまうことがある。広告主からすれば広告をタップさせることこそが狙いとはいえ、ユーザー体験を損なっているのも事実だ。

RakutenLink RCS AI 各所に楽天グループの広告が表示される。時々間違えて広告をタップしてしまう。これは広告主の思うつぼなのだろうが、ユーザーにとっては広告が多すぎて困る……というのが正直なところ

 そして、最も困ったのは電話をかけづらくなった点だ。かつてRakuten Linkは起動後、電話に関する項目が最初に出てきていたが、アップデートに連れて前述した楽天グループの広告やニュースがホームに表示されるようになり、起動してすぐに電話をかけづらくなってしまった。これだと、せっかくの「通話無料」というメリットを実感しづらくなってしまう。

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