実際、他社は2025年ごろから5G SAのエリアを急ピッチで広げている。中でもKDDIは3月末での人口カバー率目標を90%超に設定しており、そのメリットとして「より安定した通信」を挙げている。ソフトバンクも人口カバー率こそ公表していないが、東名阪を中心に面展開を進めており、実際の接続率は高い数値を維持している。
楽天モバイルが5G NSAのみでここにどこまで対抗できるかは、未知数だ。また、同社は4Gが1.7GHz帯とプラチナバンドの700MHz帯のみで、5Gへの転用がしづらい。5G SAを開始しても、Sub6とミリ波のみでエリアを広げなければならない点は、他社と比較して不利な点といえる。
もっとも、同社も2026年に5G SAのサービス開始を計画している。NSAからの切り替えは、コアネットワークの置き換えなどはある一方で、物理的な基地局の装置はそのまま流用できるため、チューニングさえ済ませれば早期に広げることが可能。実際、KDDIやソフトバンクも、1年で一気に5G SA対応エリアを広げている。
矢澤氏も、「技術的にはSAで体感値が向上するので、最優先で対応していく」と語っている。サービス開始の時期も、2026年で変わっていないという。5G SAのエリアの広さが、ネットワーク品質を示す指標の1つになりつつあるだけに、早期の対応が必要になりそうだ。
ただ、楽天モバイルは品質だけでなく、エリアにも課題が残る。ここをクリアした上で、次のステップとして品質での競争になっている他社との大きな違いといえる。郊外ではKDDIのローミングに頼っている場所も残るため、この契約を更新できるかどうかがエリアの広さを左右する。
楽天モバイルも自身に割り当てられたプラチナバンドは「有効性が高いので使っている」(同)というが、現状では「KDDIのローミングとわれわれの周波数のバランスを取りながらマネジメントしている」(同)。楽天モバイルのプラチナバンドは「合計では開設計画よりも前倒しで建設が進んでいて、(衛星通信の)ASTも当初はローバンドでやる」(同)というが、現実的に考えると、地方ではKDDIのローミングを延長せざるを得ないだろう。
対するKDDIの代表取締役社長CEOの松田浩路氏は、6日に開催された第3四半期の業績説明会で「エリアが重複しているところは、順次切っていくということにしている」と語った。重複がないエリアについての言及は避けたものの、「9月のローミング(終了)をどうするのかは協議中」(同)だという。エリアが縮小しないよう、部分的に再延長していく可能性も残されているといえそうだ。
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