「携帯はドラえもんになる」──孫泰蔵氏mobidec 2006(1/2 ページ)

» 2006年11月30日 19時54分 公開
[園部修,ITmedia]
Photo 今回は特定の企業の代表者としてではなく個人として出席した孫泰蔵氏

 11月30日、モバイルコンテンツのカンファレンス「mobidec2006」が開催された。オープニングのセッションでは、“個人”としての孫泰蔵氏がモバイルネットワークの未来について語った。

 セッションの冒頭で孫氏は「自分はどちらかというとインターネット業界の人間で、モバイル業界についてはまだ門外漢のようなものですが」と前置きしながらも、「基本的な関心の範囲はエンタテインメントやコンテンツを媒介とした人々とのコミュニケーション。ガンホー(孫氏が経営するオンラインゲームの会社)で、ガンホーモバイルという携帯サイトを運営していますので、モバイル業界自体とまったく関わりがないわけではありません。また、ここ1年ほどはさまざまな人や会社と、新しいモバイルの取り組みができないかと話し合っています」とモバイル業界に高い関心を持っていることを明らかにした。

モバイル業界にはまだオープン性が足りない

 モバイル業界の現状について孫氏は「昔のPCの文化のよう」と話す。キャリアごとに独自のプラットフォームが存在していて、コンテンツを作る側はすべてそれらの独自プラットフォームに合わせて制作している状況を、かつてPCメーカーが独自プラットフォームでPCを展開していた頃になぞらえた(10月4日の記事参照)。「この状態ではスケールメリットが出せません」(孫氏)

 同氏はPC業界にPC/ATとその互換機が登場し、後にWindowsなどが登場して世界的な水平分業ができていったことに触れ、「携帯の表現力がリッチになってくれば、PCとシームレスにやり取りしたいと考える人たちも出てくる。携帯にも共通のプラットフォームが必要で、携帯以外のデバイスとも等価にデータやコンテンツが扱えるようになるべき。携帯にはまだオープン性が足りない」と指摘した。

消費者の視点から考えた未来の携帯

 携帯の未来については、消費者からの視点と、サービス事業者やコンテンツ事業者からの視点という2つの見方を示した。

 消費者の視点で考えた場合、携帯には「想像する以上にさまざまな使途がある」と孫氏は言う。携帯電話は、例えば「いつでもどこでも使える」だけでなく「ある時、ある場所で使いたい」という欲求も満たせる。相手との関係やコミュニケーションの範囲も、ある時は広範囲なブロードキャストであり、あるときは個人から個人へのピンポイントコミュニケーションになるなど、相反する要素を包含しうる懐の深いものであり、「可能性はいろいろ考えられる」と話した。

 孫氏が「未来像のイメージ」として会場で流した3分ほどの動画では、“BB Music”という想像上のサービスを軸に、あるシーンでボタンを押すだけで、必要なものを必要なときに端末に取り込める様子が紹介された。そのサービスでは、

  • TV Music Download − テレビを見ながらボタンを押すとその時再生されている音楽のデータが手元のデバイスに瞬時にダウンロードされる
  • Hot Spot Download − ライブハウスでボタンを押すと、ライブを行っているアーティストの楽曲がダウンロードできる
  • Hot Spot Download(Cafe) − DRMで著作権保護された状態で、友達に曲をお勧めすると1日だけ無料で聴けるような形で楽曲を端末から別の端末に転送できる
  • Hot Spot Station − 駅で英会話スクールのポスターを見てボタンを押すと英会話教材がダウンロードできる

といったものが提供されている。孫氏はこれらのサービスは「ホットスポットのような場所がいっぱいできれば実現できるのでは、と当初は考えていましたが、携帯も3Gの普及が進み、HSDPAなどの高速なネットワークもできてきたので、携帯でも十分に実現できると思います」と話す。

 同氏は「テレビなどを見ていて、この曲いいな、とか思っても、その場で買えないのですぐに忘れてしまう。結局検索サイトや楽曲販売サイトなどでいろいろ検索しないと見つからず、もういいやとあきらめてしまうこともある」という自身の体験から、ユーザーの“あ、これ!”を特定し、その時その場で必要なコンテンツが入手できるようなインタフェースの開発に期待を寄せた。

 「音楽業界でCDの販売が減っていると言うが、音楽を聴くのが嫌いになったり、聞かなくなったりしているのではなく、忙しくて検索している暇がないのではないでしょうか。その場で手に入れられれば、もっと利用は増えると思います」(孫氏)

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