スタートから1年、iD&DCMXの今 (2/4 ページ)

» 2007年02月20日 03時50分 公開
[吉岡綾乃,ITmedia]

開始1年、ドコモの「今」

 携帯事業者として、iDというプラットフォーム提供者として、そしてDCMXイシュアとして、ドコモは現在3つの顔を持っている。それぞれの立場で、今ドコモはどのような立ち位置にいるのだろうか。

 まず携帯事業者としては、先行しておサイフケータイ(iモードFeliCa)対応を進めた点が挙げられる。ハイエンドの90xシリーズはほぼ全機種がおサイフケータイ対応機種であり、70xシリーズも徐々に対応機種が増えるなど、3キャリアの中では最もラインアップが充実している。

 サービス面でもそうだ。おサイフケータイの対応サービスには3キャリアすべてに対応していないものも少なからずあるが、ドコモのおサイフケータイに対応していないサービスはまずない。おサイフケータイ対応サービスを使いたければ、ドコモを選んでおけば間違いない、という状況にある。

 「この事業(iD)を始めるとき、我々はキャリアのドコモとしてではなく、リアルな生活のプラットフォーム提供者として事業に取り組みました。キャリアのドコモではなかった。とはいっても、MNPを迎えたときに自分たちの強みとして『おサイフケータイ(のラインアップ)が圧倒的に多い。どんな決済サービスも利用できる』という点を訴求したのは事実」(守屋氏)

 iDプラットフォームの提供者という立場ではどうだろうか。「ユーザー数、加盟店舗数、発行数など、量的な拡大は順調で、次のサービス競争のフェーズに入りつつありますたとえばトルカ(参考記事1記事2)は、ユーザーにとっては割引クーポンやチラシといったメリットがあり、店舗にとってもCRMツールとしての意味がある。単なる決済手段に留まらずに広げていきたいと考えています」

 DCMXの提供は2006年4月。つまりクレジットカード会社としてのドコモは、まだサービスを開始してから1年経過していないことになる。ドコモではDCMXの月間利用件数、取扱高、1回あたりの取扱金額の数字は明らかにしていない。「利用件数は増えているが、先行するEdy/Suicaにはまだ及ばない。1回あたりの単価はプリペイド系よりも高く、お店によっては現金単価の2〜3倍になるところもある」(守屋氏)

photophoto iDのロゴ(左)がある店舗であれば、DCMXや三井住友カードiDを利用できる。ドコモはDCMXのプラスチックカードも発行している(右)

他カード会社との提携方針は?

 当初iDは「三井住友カードiD」としてスタートし、やがてドコモが発行するDCMX/DCMX miniが始まり、急激にユーザー数を増やした。「三井住友カード+ドコモ」のイメージが強いiDだが、実際にはこの1年で、iDに参画しているカード会社の数は大きく増えた。三井住友カードのほか、みずほマイレージクラブカード、イオンクレジット、VJA(VISAジャパン協会)グループ各社など、現在48社がiDを発行している。またUCカードでは、自らカードを発行してはいないが、UCブランドのカードを発行し、アクワイアリング業務を行っている。さらに2006年11月にはオリエントコーポレーションがiDの発行を表明しており、ここが50社目のiD参画会社になりそうだ(2006年11月の記事参照)

※「みずほマイレージクラブカード」にはUCマークが付いているが、発行会社はセゾンである

 イオンクレジットやオリコといった、ドコモと資本関係がないクレジットカード会社が参加したことにより、iDが使えるクレジットカードのバリエーションはかなり広がったように見える。ドコモではどのような方針で、各社と提携を進めているのだろうか。「iDはオープンプラットフォームですから、プレーヤーは多い方がいい。流通系、信販系など、いろいろな会社に声をかけています。例えばジェーシービーや、UFJニコスにも『iDをやりませんか?』とお誘いしていますよ。今のところ参加の見込みは薄いですが」(守屋氏)

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