無線LAN、時代は“デュアルモード”へN+Iの展示会場では、機器ベンダーとチップベンダーがデュアルモード対応を競い合った。無線LANチップでは、先行した米Atherosを追うように、各社が2.4GHz帯と5GHz帯のデュアル対応チップを計画している
無線LAN機器ベンダーは迷っている。手軽さと低価格化で広く普及しているIEEE 802.11b(以下11b)、マルチメディア用途でも期待が高まる高速なIEEE 802.11a、さらにIEEE 802.11gもドラフト仕様が固まり、年内には正式な標準規格が策定される。どれを選択すればユーザーは満足し、かつ利益を上げることができるのか。その回答は、“デュアルモード”のようだ。 「NetWorld+Interop 2002 Tokyo」では、機器ベンダーとチップベンダーがデュアルモード対応を競い合っている。インテルが「インテルPRO/Wireless 5000 LAN デュアル・アクセス・ポイント」を発表すれば、NECは「PK-WL010」用の「802.11aアップグレードキット」を参考出展。さらに自社開発の11a対応チップセットをアピールするため、「DualModeAccessPoint」の試作機を展示した。
現時点で、機器ベンダーが11aだけをサポートするのはリスクが大きい。期待と価格は高い11aだが、まだ欧州では「HyperLAN2」が幅をきかせており、11aは「いわば、地域限定標準仕様」(WECA、アジアマーケティング担当の富樫浩氏)。また、5GHz帯を使うため、2.4GHz帯の11bとは互換性がない。つまり、11aのみのサポートは市場を狭めることに繋がってしまうわけだ。事実、米Microsoftなどは「802.11aオンリーの製品はWindows認定対象外」(6月の記事を参照)という判断を下している。
ただ、デュアル対応にするといっても話は簡単ではない。個別にチップを使っていては、コスト面で不利になるからだ。ちなみに、上で挙げたインテルやNECのデュアル対応アクセスポイントは、IEEE 802.11a/bそれぞれのチップセットを搭載してデュアル対応を実現している。そこで注目が集まっているのが、最初からデュアルモードをサポートしたチップセットだ。
米Atheros Communicationsは、802.11a/b/gをサポートする「AR5001X」(3月の記事を参照)を出展。miniPCIカードやアクセスポイントなど、多くのリファレンスデザインを展示している。「既にFCC(連邦通信委員会)やTELECの認定を取得しており、夏中には量産出荷を開始する」(同社)。 AR5001Xは、11a/11bにくわえ、11gドラフト仕様のOFDM方式に対応。RC4に代わる次世代の標準暗号化方式であるAES(Advanced Encryption Standard、5月の記事を参照)やIEEE 802.11e準拠(予定)のQoSもサポートする。
Atherosに遅れをとった格好の他のチップベンダーも、デュアル対応への準備を着々と進めている。 11g対応チップを2003年第1四半期にリリースすることを既に表明している米Intersilは今回、新たに「2003年第2四半期に11a/gのデュアル対応のチップセットを発表する見通し」を明らかにした。また、米Texas Instrumentsも「2003年の早い時期」をメドに2.4GHz帯と5GHz帯の両対応チップセットをリリースする計画を打ち出している。無線LANチップベンダーの開発競争が、今後“デュアル”を巡って激化することは間違いないだろう。
関連記事 802.11aオンリーはWindows認定対象外――デュアル対応を促すMS Cisco、802.11a対応製品発表 802.11gの未来は暗い? IEEEが無線LAN規格「802.11g」を暫定承認 2.4GHz無線LAN、IEEE 802.11gへの準備は万端? 初の802.11g対応チップセット出荷 モバイルキーワード Wi-Fi【わいふぁい】 無線LANの主流は、“混沌の後”802.11a&11gへ 「a, b、e、g」――それぞれの802.11が意味するところ IEEE 802.11aがもたらすワイヤレスLANのイノベーション シャープ、IEEE 802.11“e”の国内初デモ 一足お先に22Mbps? メルコが新無線LAN製品群を世界同時発表 関連リンク NEC Atheros Communications Intersil Texas Instruments [芹澤隆徳, ITmedia] Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved. モバイルショップ
最新スペック搭載ゲームパソコン
最新CPU搭載パソコンはドスパラで!!
FEED BACK |