インタビュー
» 2012年07月17日 12時30分 公開

LCC“ピーチ流”の働き方:「LCCはただ低コストなだけじゃない」 ピーチ流のユニークな働き方とは? (2/3)

[上口翔子,Business Media 誠]

社内ポータルで迅速な情報共有を

 ピーチでは、スタッフ間の情報共有に役立つよう、マイクロソフトの情報共有アプリケーション「Microsoft SharePoint Server 2010」で社内イントラネット内にポータルサイトを構築している。そこで全スタッフ向けのアナウンスをしたり、掲示板のようにディスカッションしたり、クラブ活動の部室ページを用意したり、オンラインのコミュニケーションツールとして活用している。各自が自分のページのようなものも持っており、それを他の人が閲覧することも可能。いわばグループウェアのように利用できるサイトだ。

 情報共有の仕組みとフリーアドレス制の成果はコミュニケーションの活性化だけではなかった。実は「ペーパーレスにつながった」と野村部長は言う。

 「例えば会議に持ち込む資料1つとっても、紙の場合はその後資料がアップデートした場合、印刷し直して参加者に再度配布する作業が発生する。また後からその資料を見ようと思っても、もしかしたら紛失しているかもしれない。それがクラウドでデータとして共有しておけば、アップデート情報も作成者がいちいちプッシュしなくても必要な人が必要なときに参照でき、そのデータがどこにあるかだけ知っていればいい。バージョン管理も効率的にでき、会社にとってもコスト削減になるメリットがある」

 ちなみに、情報共有基盤としてMicrosoft SharePoint Server 2010を採用した理由は、ピーチ流の働き方を実現するIT基盤として必要なものを追及していく過程で、最良のものだったからだという。今後も必要に応じて新しいものを導入していく方針だ。

FAXはいらない

 一方で、導入するだけでなく、あえてなくすものもある。その代表例がFAXだ。ピーチが使用しているカラー複合機には、コピーやスキャンのほかにFAX機能も備えている。しかしFAXがあることで紙でのやりとりが増え、ペーパーレスの流れが途絶えてしまう。つまりピーチ流の働き方に逆行してしまうので、最初から番号設定をしていない。

 「もちろん名刺にもFAX番号は書いていない。外部の人にも『FAXはないので、データでください』と言うようにしている」

 ちなみに固定の電話機も、ワンフロア(約50人ほどが在籍)に3台のみ。内線電話ではなく、コミュニケーションは対面かメールが多い同社ならではのスタイルといえるだろう。

社内用品をレンタルできる“社内ツタヤ”「MOMOYA」

 もう1つ、あえて数を減らしているものがプロジェクターや予備のPC、ACアダプターなどの備品だ。それらは「MOMOYA」と呼ぶポータルサイト内の1コーナーで予約をし、誰がどの期間に使うかを記録して共有している。

MOMOYAの画面。PC、モバイルルーター、ACアダプター、テレビ会議システム、プロジェクターに加えて、緊急のコールセンターができるヘッドセットなども

 「社内ではピーチ用の“ツタヤ”だと説明している。取り扱い商品一覧があって、それをスタッフの誰がいつ予約したのかを管理できる。本当は各部署に1つプロジェクターがあったりする方が便利なんだろうが、常に使っているもの以外はなるべく共有物品にすることで、少ないリソースで済んでいる」(野村部長)

 加えて、ちょっとした急用時にもこのシステムは役立っているという。貸し出し機器の中にはモバイルルータもあり、例えば会議室が埋まっている場合など、それをレンタルして外のカフェなどで会議ができる。また、Skypeに対応したテレビ会議システムは、遠方の人と打ち合わせをする際や緊急のコールセンターを開設する際に利用している。

 MOMOYAの特徴は、ただ機器を提供するだけでなく、それらの使用方法なども提示している点だ。内容は単なる使用説明だけでなく、「こういう使い方をすればコスト削減になるよね」や「最近のオススメ機器はこれ」というようにただ貸し借りを記録するだけのレンタルツールではない役割を担っている。

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