ハルク・ホーガンだけの問題ではない、“Nワード”が飛び交う世界赤坂8丁目発 スポーツ246(2/4 ページ)

» 2015年07月30日 08時00分 公開
[臼北信行ITmedia]

どのような「人種差別発言」があったのか

 そのレジェンドに一体、どのような「人種差別発言」があったのか。話を総合すると決定打となってしまったのは、8年ほど前にホーガンが実娘で歌手のブルック・ホーガンと黒人男性がデートしていたことを知って腹を立て、怒りの余りにNから始まる差別的な禁句ワードを連発したこと。その時の会話の一部始終がホーガンをめぐる訴訟資料の中のテープに記録され、メディアの手に渡ってしまっていたのである。

 ちなみにその「訴訟」とは、3年ほど前にホーガン側が起こしたもの。盗撮された自らと女性との性行為シーンの映像を無断掲載した米オンラインメディアの『ゴーカー・メディア』と、隠し撮りした男性を相手に損害賠償を求めて訴えていた。情報によれば、どうやらゴーカー・メディアはそのくだんの映像の中でホーガンが“Nワード”を発するシーンを見つけ、それを水面下で米タブロイド紙『ナショナル・エンクワイアラー』に売り飛ばしてしまっていたというのだ。

 実際にエンクワイアラーはWWEがホーガン解雇を発表した直後、問題となっているホーガンの“Nワード”が訴訟資料のテープの中から新たに見つかったことを詳細にリポートしている。

 盗撮騒動で訴訟を起こしながら自分で自分の首を絞める結果となってしまったホーガンとしては、まさに踏んだり蹴ったり。しかし、人種差別発言に対する米国内の目は厳しい。スポーツ界でも2014年4月、全米男子プロバスケットボールリーグ「NBA」のロサンゼルス・クリッパーズでオーナーを務めていたドナルド・スターリング氏が知人の女性に「黒人と付き合いがあることを吹聴してはいけない。試合にも連れてくるな」と語った会話が録音され、そのテープがゴシップ系サイトに投稿されたことで各方面から非難が噴出。同氏はNBAの規約で最高額の250万ドル(当時のレートで約2億5000万円)の罰金を科され、永久追放処分を受けている。

訴訟を起こしながら自分で自分の首を絞める結果となってしまったハルク・ホーガン

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