「野蛮人」と蔑まれていた日本人観光客が「世界一」になったワケスピン経済の歩き方(2/5 ページ)

» 2015年08月04日 08時01分 公開
[窪田順生ITmedia]

世界の観光地を荒らすニュー・バーバリアンたち

 今から28年前、世界的な週刊誌『TIME(タイム)』が「世界の観光地を荒らすニュー・バーバリアンたち」として日本人の観光客を特集した記事を、『読売新聞』(1987年8月31日)が引用したものである。

 当時、世界の観光地において日本人観光客の嫌われっぷりは、いまの中国人観光客に勝るとも劣らないほどだった。

 『タイム』は、ローマ元老院議場の大理石の床を記念に削って持ち帰った日本人観光客をおもしろおかしく紹介したが、イタリアの教会では懺悔(ざんげ)している人にフラッシュを浴びせるというトラブルも多発。バチカンのサンピエトロ寺院が、日本人へ向けて「寺院内のフラッシュ撮影禁止」を告知するハメになった。ドイツでは静岡の金融機関の団体客が文化財になっている建物に「○○信用金庫一行」とヤンキーみたいな落書きして謝罪をした。欧州だけではなく、アジア、米国など世界中の観光地でハメを外した。『Nスタ』で報じられた中国人観光客がかわいく思える暴れっぷりだ。

 断っておくが、昔の日本人もひどかったんだから、日本にやって来る外国人観光客のマナーの悪さも大目にみろとか主張したいわけではない。

 ここまでやりたい放題で煙たがられた日本人も十数年で「世界一マナーが良い観光客」に成長することができたということが言いたいのである。

週刊誌『TIME(タイム)』が「世界の観光地を荒らすニュー・バーバリアンたち」という特集を紹介していた(写真はイメージです)

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