「安保反対デモ参加者は頭が悪くて仕事ができない」は本当かスピン経済の歩き方(2/5 ページ)

» 2015年08月18日 08時00分 公開
[窪田順生ITmedia]

難癖をつける社員

 これはビジネスパーソンとしてはかなりイタい。例えば、もしもあなたがサラリーマンだとして、シビアな決断を下す社内会議で、各々が具体的な解決策を議論している時にことごとく難癖をつける社員がいたとする。誰かがなにかアイディアを口にするたび、「それでは会社が倒産する」「社員が路頭に迷うぞ」と激しい批判を展開する社員に対して、だったら君の意見を聞こうじゃないかとみんなが水を向けたら、彼は胸を張ってこのように答える。

 「創業者の思いを受け継いで、企業理念に基づいた民主的な経営をすればいいと思います」

 いや、それはそうなんだけどさ……と思いっ切りズッコけてしまうのではないだろうか。対案なき反対をしている人々は、どうしてもこのように議論が上滑りしてしまっている印象なのだ。理念ばかりを唱えるのが青臭くて使いものにならないとか言っているわけではない。理念に固執するのは結構なことなのだが、それを実現するためにありとあらゆる方法を考えて実際に汗をかいて動くという「生産性のある仕事」をしていないと言っているのだ。

 座り込んだり、プラカードを持ったりしてワーワーやって理念を実現するというのも尊い仕事だとおっしゃる方たちもいるかもしれないが、残念ながらそのような若者が即戦力になるのは社会運動や市民団体であって、一般企業で「生産性のある仕事」をバリバリこなしている姿は想像できない。むしろ、堀江氏の言うように「間違った理論に盲従」するあまり、自分だけではなく組織全体を危険にさらしてしまうイメージすらある。

 実際、過去にそういう人がいた。

 石橋政嗣(いしばし・まさし)氏である。ご存じの方も多いと思うが、社会党委員長も務めた安全保障の論客で、1980年にベストセラーになった『非武装中立論』の著者としても知られている。

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