ダイソーはなぜマレーシアで「おにぎりの型」を売るのか?東南アジア発、気になるニッポン企業(3/4 ページ)

» 2015年08月20日 08時00分 公開
[野本響子ITmedia]

ダイソーの特徴

ディレクターのスティーブン・チョーさん。冬物小物もしっかりバラエティをそろえている

 ダイソーの店内は、ある特徴がある。それは、売れそうもない商品……いや、売れていない商品もズラリと並んでいることだ。

 「ダイソーは日本で1991年に創業しましたが、マレーシアではまだ進出して7年目。多くのマレーシア人にとって、日本のアイデア商品が並ぶダイソーは、まだまだ未知の楽しい世界。お客さんは目的があって買い物をするのではなく、何があるのか分からない中を、楽しく、探検しに来ているのでは」とスティーブンさんは説明する。

 現地の商品は全品5RM(マレーシアリンギット)、日本円で約160円。商品は約2万5000種類あって、英語の説明(POP)をつけているのは、たった50〜100程度。このほかの商品は日本語で書かれているので、現地の人は「これって何に使うのかなあ」と意味が分からないことも多いはず。毎月、新製品が100種類ほど入荷するので、従業員は月1回、新商品についてのレクチャーを受ける。だが、お客さんに使い方を教えてもらうことも多いという。

 「店頭には『マレーシア人は絶対に使わない』と思われるような商品が並んでいます。でも、そうした商品を並べておくことで、これまで見たことがない日本の製品を楽しむことができるのではないでしょうか。『使い方はよく分からないけど、とりあえず買ってみるか』といったノリで購入されて、自分で工夫して使われている人が多いですね」

 一方で、自転車のベルなど、使い方は分かっていても、ほとんど需要がない製品を置いている。なぜか。

 「需要がない商品でも、たくさんの中から選ぶ楽しみをお客さんに提供したい、というのが当社の基本的な考えです。だから、自転車のベルも扱っています」

一部の商品にはこのようなPOPで使いかたを説明している

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