スマホのソニーモバイルがなぜドローン開発? 合弁会社「エアロセンス」が離陸(1/2 ページ)

» 2015年08月24日 17時21分 公開
[ITmedia]

 ソニーモバイルコミュニケーションズとロボット開発のZMPによる合弁会社「エアロセンス」が8月3日に設立された。新会社が展開するのは、飛行計画から画像処理まで全て自動で行える自律型無人航空機──ドローンによるビジネス。ソニーモバイルはスマートフォンが主力事業だが、「将来の成長が望めない可能性がある」(十時裕樹社長)と、自社技術を生かせる新しいジャンルへの進出を急いでいる。

photo 垂直離着陸機と谷口社長(左)、佐部CTO

 エアロセンスは8月3日に設立。資本金1億円・資本準備金1億円はソニーモバイルが50.005%、ZMPが49.995%を出資する。社長にはZMPの谷口恒社長が就任し、ソニーでAIBOやQRIOの開発を手がけた佐部浩太郎氏がCTO(最高技術責任者)に就く。

 新会社が目指すのは、ドローンの産業向けビジネスだ。ソニーが持つカメラ、センシング、通信、クラウドサービス、ロボットの技術と、ZMPが自律型ロボット開発で積み上げてきた技術とビジネス経験を融合。建設や物流、農林水産などのジャンルに向け、ドローンを活用したソリューションを展開していく。

 マルチコプター型ドローンは自社開発しており、GPSと慣性センサーを統合することで、自律飛行と経路に合わせた撮影を制御する。カメラはソニーのレンズスタイルカメラ「DSC-QX30」を採用して高画質撮影し、「TransferJet」を使ってPCに高速転送するなど、ソニー製品を活用している。

photo 独自開発のマルチコプター型ドローン。下部にソニーの“レンズだけ”カメラを搭載する

 さらに、実用化を目指して神戸大学と開発を進めているのが垂直離着陸(VTOL)型ドローンだ。試作機は固定翼とメインモーターを備え、メインモーターを上向きと横向きに切り替えることでホバリングと、固定翼による飛行時の推力として利用する。マルチコプター型の運用性と固定翼機の長距離・長時間飛行を両立させることができるといい、将来は輸送などに活用できる可能性がある。

photo 垂直離着陸機。飛行時間は2時間以上、速度は最高で時速170キロ
photo 飛行する垂直離着陸機=同社の動画より
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