スマホのソニーモバイルがなぜドローン開発? 合弁会社「エアロセンス」が離陸(2/2 ページ)

» 2015年08月24日 17時21分 公開
[ITmedia]
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 ドローンのハードウェア自体では「Phantom」シリーズで知られる中国DJIなどが先行しているが、新会社の強みは「自動化」だ。自社製ドローンに、PCを使って飛行エリアや飛行目的をあらかじめ設定して転送すると、ドローンはボタン1つで自律飛行し、自動的に帰還。データはクラウドにアップロードされ、自動的に解析。ドローンによる空撮画像をもとにした3Dマップを即日提供することもできるという。

photo 3D化したデータから土砂の体積を求める

 自動化すればドローンを操縦するオペレーター不要で簡単に扱うことが可能になり、かつヒューマンエラーによる事故防止にもなり、安全対策上も重要だという。

 自動化に加え、ソニーの技術を活用したクラウドサービスまで一気通貫で提供できることが差別化ポイントだ。「お客が欲しいのはデータ」(谷口社長)と、売り切りビジネスではなく、ドローンを使ったセンシングをトータルソリューションとして各産業のニーズに合わせて提供することで大きなビジネスにつなげたい考えだ。既にマンションデベロッパーやゼネコンの大手と協議しているといい、「2020年には100億円を超えるビジネスに」(谷口社長)と展望を描く。

photo ドローンによるセンシング全体をプラットフォームとして提供する

 ソニーのモバイル事業は不振が続いており、スマートフォンはモデル数を削減し、高付加価値モデルに集中する方針を打ち出している。だがスマートフォン市場では中国メーカーが躍進し、韓国Samsung Electronicsですら頭打ちに苦しんでいる有様。十時社長は先日、「決してモバイル事業から撤退したり事業を売却したりしない」と海外メディアにコメントし、撤退観測を打ち消している。

 スマホ一本槍では先行きが不透明な中、十時社長は「新規分野への投資を掲げており、エアロセンスはその一環だ」と説明する。「社内でも『ベンチャースピリッツ』が重要だと言っている。ZMPのベンチャースピリッツが刺激になり、財産になる」。新規事業も本業も、ドローンのように浮上できるか──。

photo 十時社長(左)と谷口社長
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