超電導リニアを試乗「たいしたことない」、だからスゴい杉山淳一の「週刊鉄道経済」(1/3 ページ)

» 2015年08月28日 08時00分 公開
[杉山淳一ITmedia]

杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)

1967年東京都生まれ。信州大学経済学部卒。1989年アスキー入社、パソコン雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年にフリーライターとなる。PCゲーム、PCのカタログ、フリーソフトウェア、鉄道趣味、ファストフード分野で活動中。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。著書として『知れば知るほど面白い鉄道雑学157』『A列車で行こう9 公式ガイドブック』、『ぼくは乗り鉄、おでかけ日和。 日本全国列車旅、達人のとっておき33選』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」、Twitterアカウント:@Skywave_JP


リニアは高速時にいったん沈むってホント?

山梨県のリニア実験線を走行するL0系列車 山梨県のリニア実験線を走行するL0系列車

 超電導リニア体験試乗で確認したいことの1つが、スピードが上がったときに、列車は「浮くか」「沈むか」だった。磁気浮上式鉄道だから浮くに決まっている。しかし、JR東海が中央新幹線で採用した超電導リニアは、ずっと浮いているわけではない。タイヤ走行と浮上走行のハイブリッドだ。停車時はタイヤが軌道に接地している。列車はまず、磁気の吸引力と反発力を利用して走り始める。スピードが上がると車体を磁力で浮かせる。用済みとなったタイヤが格納される。旅客機と同じ理屈である。

体験乗車の参加者はいったんブリーフィングルームで説明を受ける。壁にギネス認定証が展示されていた 体験乗車の参加者はいったんブリーフィングルームで説明を受ける。壁にギネス認定証が展示されていた

 さて問題は、タイヤが格納されるとき、列車は浮くか、沈むか。旅客機と同じように、列車が浮いたと確認できてから車輪を格納すると思う。しかし、浮上する高さよりも車輪の方が大きかったら、車輪を格納したとき、重力の支えを失った列車がいったん沈むかもしれない。それはそれで理にかなっているし、ユニークな感覚ではないか。過去に試乗した人の話で「ちょっと沈んだ気がする」と聞いたことがある。

 実際に乗ってみた結論は、沈みもしなかったし、浮き上がりもしなかった。超電導リニア車両「L0系」は、時速150キロメートルあたりで車輪走行から浮上走行に切り替わる。そして、高度の変化はほとんどなかった。ただ接地感のある揺れが収まっただけだ。その揺れの変化は旅客機の離陸に似ている。ただし旅客機の場合、主翼の前の席では高度が上がるし、主翼の後ろの席では、いったん地面に近づいてから上昇する。L0系は高度が変わらない。

 旅客機に似た挙動はもう1つ。浮上走行からスピードを下げて、時速140キロメートルあたりで車輪走行に切り替わったときだ。このときは旅客機の着陸のようにガガッという揺れと音があって減速を感じる。ただし、やはり高度は変わらない。着陸に似た挙動だったから、ちょっと下がったかと思うけれど、錯覚だったはず。これまでの試作車は車輪走行の切替時に上下動の変化があったかもしれないけれど、私が乗ったL0系については、高度のコントロールがスムーズにできていると思った。

白い点線部分がリニア実験線。品川〜名古屋間と比較して、もうこんなにできているのかと思う 白い点線部分がリニア実験線。品川〜名古屋間と比較して、もうこんなにできているのかと思う
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