バブル崩壊が生んだBセグメントの隆盛池田直渡「週刊モータージャーナル」(4/5 ページ)

» 2015年08月31日 08時00分 公開
[池田直渡ITmedia]

 さらに昔と違ってコストがどんどん上昇している。その原因は衝突安全と電子制御である。まず衝突実験に膨大なお金をかけて、衝突時にフロントを上手に潰して衝撃を吸収し、キャビンの強度は上げて変形を極力抑えなくてはならない。この一連の開発だけでも二ケタ億円の開発費が飛ぶ。

衝突時の安全性は、つぶれにくいキャビンと、衝撃を吸収しながらつぶれるエンジンルームとの組み合わせで成り立っている。写真はフィットのモノコック 衝突時の安全性は、つぶれにくいキャビンと、衝撃を吸収しながらつぶれるエンジンルームとの組み合わせで成り立っている。写真はフィットのモノコック

 アンチロックブレーキやブレーキアシストを含む、ぶつからないブレーキも今や必須だ。エアバッグももちろん抜きにはできない。

 主要メカニズムについて、低燃費にするためには電制スロットルはもはや基本だし、最先端についていこうと思えば直噴インジェクターを導入しないとならない。トランスミッションも電制化しないとカタログに記載する燃費性能で負けるのだ。

 こうした装備は昔のクルマにはなかった。デバイスを山盛りに付ければ値段が上がるのは当然だ。ところが、前半で書いたように、ユーザー側のコスト要求は極めて厳しい。高いと買えない。背に腹を変えられない事情がある。

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