年俸4億円を“持ち逃げ”……松坂大輔に生じる「説明責任」赤坂8丁目発 スポーツ246(3/4 ページ)

» 2015年09月03日 08時00分 公開
[臼北信行ITmedia]

日本を離れて「ハイ、サヨナラ」

 この球界OBの指摘通り、松坂は「説明責任」を完全に怠っている。今季からソフトバンクとは3年推定4億円プラス出来高払いの超破格契約を結んでいることを考えれば、それを事実上の反故(ほご)にした時点ですべての利害関係者に予定、内容、結果などの報告を自分の口から行う義務が生じる。

 しかも年俸は、あくまでも「推定」。実際のところは「年俸6億円から7億円」ともささやかれているだけに、なおのことだ。そもそも年俸を支払っているのは球団だが、もとを正せばそこにはファンからの入場料やグッズ収入、スポンサー収入なども含まれている。

 そう考えると松坂の獲得失敗は、当人にそれだけの投資をした球団だけがダメージを受けることで済まされる問題ではない。ファンやスポンサーは“給料泥棒”の松坂に「ふざけるな」と声高に叫んで怒りを向ける権利があるのだ。実際、ネット上では松坂に関するニュースが上がると、たちまちユーザーたちの批判で溢れかえる状況となっている。これらの観点を総合すれば、松坂は一刻も早く公の場に出て謝罪しなければならず、今後のスケジュールと方向性についても自分の口から説明しなければいけない。

 しかも球団によれば、松坂は退院後のリハビリを家族の住む米国で行う方針であるという。これも普通に考えれば、ありえない話だ。契約を結ぶ所属チームの施設がある日本で今後のリハビリを行うことは最低限の鉄則であって、遠く離れた米国では日々のコンディションもチェックできず球団側の目が行き届くはずもない。

 そういう数々の疑念を抱かれながら松坂は球団発表のコメントだけで、日本を離れて「ハイ、サヨナラ」してしまうのだから思わず閉口してしまう。破格契約による「超VIP待遇」に守られ、異国の地でのうのうと悠々自適なリハビリ生活を過ごす――。これは長い日本のプロ野球の歴史においても極めて稀有(けう)なケースといえるだろう。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.