ちかぢか48歳。ゴン中山は“奇跡”を起こせるのか赤坂8丁目発 スポーツ246(3/3 ページ)

» 2015年09月10日 08時00分 公開
[臼北信行ITmedia]
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「現代のサムライ」のような選手

 4年後の1998年、中山氏は日本が初めてワールドカップに出場したフランス大会でも代表入り。同年6月26日のジャマイカ戦では2点を追う後半29分にワールドカップでの日本人初ゴールを決めた。しかし、筆者の脳裏に焼き付いているのはゴール直後。スタジアムにいた日本サポーターが大きく沸き返る中、中山氏はゴールを決めた直後に笑顔すら見せず、ピッチ上で他のイレブンと軽くタッチを交わしたのみ。そのゴールを頭でアシストし、すぐにボールを拾い上げた呂比須ワグナー氏(現引退)とともにセンターサークルへ走っていった。

 本来ならばボールを拾うのはゴールを決められたジャマイカ側が行うべきことである。メモリアルゴールだったにも関わらず、呂比須氏と険しい表情のままセンターサークルへ走っていった中山氏の姿には「勝ちにいくからこそ1秒たりとも時間を無駄にしたくない」との強い気持ちが現れていた。

 こうしたプレーヤーとしての中山氏を、現在ブラジル代表で指揮を執るドゥンガ監督も高く評価していた。かつて同監督がまだ現役としてジュビロ磐田でプレーしていたころ、チームメートの中山氏について、次のように語っていたことがある。

 「中山はとても逞(たくま)しい男だ。勝利に対する執着心がとても強く、苦境に負けない精神力も持ち合わせている。常に最高のパフォーマンスを見せるために、多くの努力を積み重ねている。彼は『現代のサムライ』のような選手。多くの日本人選手の模範となるべき存在だと思う」

 現役当時からリップサービスをすることを嫌っている「鬼軍曹」が、ここまで激賞して太鼓判を押す中山のプロ根性は本物だ。間もなく48歳となる「現代のサムライ」の挑戦と生き様をしっかりと見たい。

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