デジタルとアナログを高次元で融合! カシオの腕時計が目指すモノづくり(1/7 ページ)

» 2015年09月30日 14時58分 公開
[井口裕右ITmedia]

 カシオの腕時計が躍進している。カシオの腕時計と言えば、80年代に「データバンク」に代表される多機能なデジタル腕時計のブームを生み出し、90年代には堅牢性を備えた「G-SHOCK」が若者の間で大人気。しかし、2004年以降は、これまで培ってきたデジタル時計の技術とアナログ時計の良さを組み合わせた、デジタルドライブ内蔵の高機能アナログ時計をラインアップの中核に据え、その後の売り上げは90年代を上回るほどに成長。2012年度に1000億円だった売り上げは、2015年度には1700億円を見込んでおり、中期目標では2017年に2000億円の売り上げを目指している。

 なぜ、カシオの腕時計が消費者から支持されているのか。その理由は、カシオの腕時計が目指しているポジショニングを紐解くと見えてくる。海外の高級腕時計は、高精度のアナログムーブメントを生み出すクラフトマンシップをコアバリューとして、その伝統に裏打ちされた“所有感”が大きなブランド価値となっている。しかしカシオは、電波ソーラー、センシング技術、GPS、スマートフォンとの連携などデジタル技術をコアバリューとして、それを独自のアナログムーブメント技術と組み合わせることで、独自の製品価値を追求している。時計に求められるニーズに、独自の技術に裏打ちされた高機能、高精度なレスポンスで応えることにより、ブランド価値が生み出されているのだ。

カシオの腕時計が売れている。写真はG-SHOCKの新製品「MTG-G1000D」

 こうしたカシオの腕時計開発の現場では、どのようなモノづくりへのこだわりがあるのだろうか。カシオ計算機 羽村技術センターで、腕時計の心臓部であるデジタルドライブやアナログムーブメントの設計を企画している小島直氏と、腕時計を動かすプログラムの仕様設計を担当している長谷川幸佑氏に話を聞いた。

カシオ計算機 羽村技術センター時計事業部モジュール開発部モジュール企画室の小島直氏(左)と、第二開発室の長谷川幸佑氏(右)
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