デジタルとアナログを高次元で融合! カシオの腕時計が目指すモノづくり(2/7 ページ)

» 2015年09月30日 14時58分 公開
[井口裕右ITmedia]

カシオが追求する“インテリジェント・アナログ”を支える技術

――カシオの腕時計に搭載されている代表的な技術について教えてください。

小島氏: カシオでは、これまで培ってきたデジタル時計の技術を生かして高機能なアナログ時計を開発するために、ムーブメントの中で針を動かすモーターの開発に力を入れています。

 最新モデルのラインアップを例にすると、モーターのサイズをOCEANUS Manta(OCW-S3000)から26%のダウンサイジングに成功しました。コイルを巻く軸の形状を見直したり、コイルそのものを髪の毛よりも細くしたりすることで、消費電力量を変えずに小型化することができました。これによって、モーターの数を増やして針の動作をより豊かにしたり、小型化したことで生まれたスペースにGPSアンテナやスマートフォンと連携させるBluetoothアンテナなどを搭載したり、新たなセンサーやモジュールを組み込んだりすることが可能になりました。

 また、OCEANUS(OCW-G1100)とG-SHOCK MT-G(MTG-G1000D)に搭載した「デュアルコイルモーター」も、上記の小型化したモーターことにより実現しました。モーターが大きくなってしまうと、どうしてもデザイン性を損なってしまったり、ムーブメント内部のレイアウトの自由度や搭載できる機能が制限されます。

 そういったことから、モーターの小型化は高機能なアナログ時計を開発する上で大きなポイントなのです。針を時計周りでも反時計周りでも同じ素早さが可能になり、針の動作に表現の豊かさも生み出しました。

左下が従来のモーターで右下が26%のダウンサイズに成功した最新のモーター。上部2つはデュアルコイルモーターで、モーターを2つ組み合わせても従来のモーターとほぼ同じサイズを実現している
G-SHOCK MTG-G1000Dの電子基板(左)とモーター配置(右)。電子基板の上部にある大きな部品がGPSアンテナで、モーターを小型化することにより搭載が可能になった

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