この状況を打破する解決策はあるのだろうか。コンビニ本部も黙って見ているわけではないだろうが、残念ながら今のところ“決定打はない”と筆者は思っている。
現在普及が進んでいる人件費削減の策として、セルフレジがある。スーパーでは導入が進んでいるが、大手コンビニでも既に実験段階に入っていると聞く。ただ、コンビニのレジ業務は単に品物の精算だけではない。カウンターフーズの提供や催事関連商品の紹介はレジ精算時に行われており、セルフレジに踏み切れない要因の1つとなっている。
もう1つは、ICタグによるレジ精算の簡素化である。所定の位置にカゴごと置くだけで、瞬時に合計金額が表示されるというものだ。しかし、技術的にもコスト的にも、当面導入されることはないだろう。
「いっそのこと、全部自動販売機でいいんじゃね?」という意見の人もいるだろう。おにぎりやサンドイッチ、菓子パンなどが買える自販機型のコンビニは、福利厚生の一環として導入している企業もある。導入のハードルとしては低いかもしれないが、ここで少子化問題に付随して高齢化問題が行く手を阻む。
高齢者の買い物チャネルとして、コンビニは重要な役割を持ちつつある。各社コンビニは「近くにあって、少ないパッケージで買える」という利点を前面に押し出してきた。おかげで高齢者の利用率は徐々に増えてきており、スーパーが有利という考えは既に古くなっているのだ。
そんな彼らに、自販機だけの店舗は到底受け入れてもらえないだろう。利用者の高齢化が進んでいることはコンビニ関係者にとっては周知のことだ。このことから、自販機だけの店舗も実現性が低いと考える。
サービス向上をうたうコンビニ本部と、人手不足でギリギリの状態で店を運営するオーナー。今後の人材不足が明らかとなっている今、両者にとってWin‐Winな解決策は見つかるのだろうか。
あなたの近くにあるコンビニも、実は人手不足で店員はヘトヘトに疲れているのかもしれない。いや、きっと疲れているはずだ。
コンビニ本部で社員をして10年余り、いわゆるスーパーバイザーなるものを経験し、何を思ったか、独立オーナーに転身した。自分の仕事についての足跡を残すため、仕事の合間にオルタナティブ・ブログ「とあるコンビニオーナーの経営談議」を執筆中。
現在はオーナーを辞め、コンビニライター&アドバイザーをやっている。
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