次のヒット商品は? 1億総「シンデレラコンプレックス」のワナ森永卓郎の“白馬の王子”理論(2/3 ページ)

» 2015年12月07日 07時30分 公開
[森永卓郎ITmedia]

新商品は「小粒化」している

 もう1つ、この調査から分かったことは、新商品の「小粒化」だ。商品の発売時期別に成長曲線を描いてみると、50年代、60年代、70年代、80年代と時代を経ることに、立ち上がりの角度が低くなり、ピークも小さくなっているのだ。このことは、仮に画期的なヒット商品が出たとしても、それがどんどん小粒のものに変わっているということだ。

 イメージで言うと、最初に白黒テレビが出てきたときのインパクトは大きかったが、カラーテレビではやや小さくなり、ハイビジョンでさらに小さくなり、現在の4Kは一部のマニアだけが踊っているといった変化だ。

 さらに、もう1つの新製品を取り巻く変化がある。それは、「寿命の短命化」だ。科学技術政策研究所が1999年に行った調査によると、企業が新製品を発売してから、その製品が利益を生み出す期間は、1950年代に発売された商品は21.8年、60年代の商品が16.8年、70年代が10.2年、80年代の商品が6.5年、90年代の商品が3.2年という結果だった。

 こうした商品の短命化は、「国産寿命」でも明らかだ。国内生産で新商品が登場してから、海外生産品の逆輸入が始まるまでの国産寿命は、カラーテレビが30年、家庭用VTRが17年、CDプレーヤーが10年、ワイドテレビが4年、MDプレーヤーが3年となっている。つまり、大きな付加価値を持ち、国内で生産できる期間が、どんどん短命化しているのだ。

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