これも以前書いたことだが、「排気量、サイズ、価格など、何か1つの物理的なモノサシでセグメントを判断することは難しい。逆に言えば、そう簡単ではないからこそセグメントという別のモノサシを作り出さなくてはならなくなった」のである。プラットフォームを持ってきて、単純にモノサシにしようとするのも全く同じことである。プラットフォームの共用というのはエンジニアリングの舞台裏の話であって、少なくとも普通に商品を選ぶユーザーに対する分類としては全く無意味だ。
しかしながら、舞台の裏方という限られた層にはその見方が有益な場面もある。それは自動車メーカーの人たちだ。Bセグメントを見てみよう。日産にはマーチがあり、マーチベースのSUVにはジュークがある。マツダにはデミオがあり、デミオベースのSUVとしてCX-3がある。これはマーチやデミオというベース車のメカニズムをできる限り流用しながら、いかに違う商品性を持たせた高付加価値のクルマを作るかという商品開発である。
彼らは経営合理性に基づいて、1つのメカニズムからローコストで別の商品を作り出さなくてはならない。そういう商品企画をする側には、各セグメントにどういうベース車両があるかということと、それを発展させて何が作れるかというのは大事なことなのだ。
その意味で言えば、仮にジュークがまともにマーチの競合車になったり、CX-3がデミオの競合車になってしまったとしたら、それは商品企画の失敗だ。自社商品間で競合が起きれば、車種が増えて開発、流通含めて各種コストが増加するわりに実りが少ない。要するに同じメカニズムを使って、違う顧客層にアピールできるからこそ、ビジネス上のパイが拡大できるのだ。
だから、この4台を競合関係に分けるとすれば以下のようになるはずだ。
Bセグメント:マーチ VS デミオ
BセグメントSUV:ジューク VS CX-3
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