日本の女性活躍に向けた5つの優先施策とは?(3/6 ページ)

» 2015年12月18日 13時55分 公開
[Strategy& ]
プライスウォーターハウスクーパース・ストラテジー株式会社

インクルージョンの3つのレベル

 教育水準が高く、高い潜在能力をもつ日本の女性を「人材」として十分に活用するためには、日本企業は職場における女性のインクルージョン(受け入れ度)を向上させていかねばならない。インクルージョンには、「雇用」「キャリア開発」「意思決定への参画」の3つのレベルに分解して考えることが有効である。

雇用

 日本の女性は、サービス業・小売業では既に比較的高い就労率に達しているが、技術、工学、理学系の専門知識が必要な業種での就労率は低い。また、業種によらず多くの企業が、女性社員はいつか離職するという先入観をいまだに持っており、多くの企業が女性の採用を一定割合に抑えるなど深刻な影響を与えている。

 冒頭でも述べたように、このことは日本の経済全体に深刻な影響を及ぼしている。女性の就労を、男性と同じ水準へと増やすだけで、GDPが最低でも9%増加すると推計されている。この潜在的増加幅は、日本は先進国の中で最も大きい(図表3参照)

図表3 男女同等の雇用が与えるGDPへの影響 図表3 男女同等の雇用が与えるGDPへの影響

キャリア開発

 日本企業でも、既に女性は、勤勉にルーティン作業をこなす優秀な事務職として重宝されている。しかし、先進的な企業においては、女性も幹部育成の対象として研修の対象に優先的に加え、積極的に育成に努めている。また、リスクや家庭とのバランスに決断を迫るようなキャリア上の選択肢も、暗黙のうちに機会を奪わずに、積極的に与えている。

 優秀な女性を採用しても、キャリア開発を行わないことには、次のステップにはつながらないことを明確に認識しているのである。

意思決定への参画

 女性は昇進の機会がほとんど無く、重要な意思決定に参加する機会が限られていることが多い。女性の活用に先進的と言われる日本のリーディングカンパニーを対象としても、女性が男性と同程度に管理職に昇進しているケースは無い(図表4参照)。また、多くの日本企業において、女性の側も昇進への期待をほとんどしていない。

 さらに、女性は平均して、同等の職を持つ同僚男性に比べて賃金が30%少ない。子どもを持つ女性にとっての状況はさらに悪い。出産後、再就労を望む女性のうち希望がかなうのはわずか43%であり、何らかの職を確保できた場合でも44%が以前よりも低い賃金で雇用されている。

図表4 管理職へ登用される女性は少ない 図表4 管理職へ登用される女性は少ない

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