SMAP騒動で訓練する逆の視点からの発想(1/3 ページ)

» 2016年01月20日 11時08分 公開
[竹林篤実INSIGHT NOW!]
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 逆の視点を持て。逆転の発想を大切にせよ。ビジネスシーンでよく聞くセリフだ。とはいえ、物事を逆から見るのは、それほど簡単ではない。そんな中で、今回のSMAP騒動は逆の視点から考える格好のネタだと思う。SMAPについて、特に思うことはないが、逆から考えてみるとどうなるだろうか。

生みの親より育ての親を大切にするサル

 「生みの親より育ての親」とは、産んでくれただけの親より、養育してくれた親のほうがありがたいことを意味する諺(ことわざ)だ。こんな諺が伝わっているのは、そうした事例がこれまでにいくつも積み重ねられてきたからであり、人の経験知として認識されているからだろう。

 ことは人間に限らない。ある生物学の先生にうかがったところ、事情はサルでも同じだとのこと。サルも育ての親を大切に想う気持ちが芽生えるそうだ。そして面白いのが、最新の遺伝学の研究成果である。

 獲得形質は遺伝しない。これが、生命科学上の従来の常識とされていた。例えば、小学生の頃、運動神経に恵まれず走りの遅かった人がいるとする。この人は、中学高校大学を通じて一生懸命に走る練習をすることによって、早く走れるようになった。やがて彼が親になり、子どもが生まれた。この子は早く走れるのかといえば、そうはならない。なぜなら、遺伝的には運動神経に恵まれていないからだ。

 ところが、最新の研究成果によると、獲得形質も遺伝する可能性があるようだ。詳しい説明は省略するが、生きている間の行動によって遺伝子修飾が起こり、これが遺伝する。生みの親の遺伝子はもちろん遺伝するが、育ての親の養育により修飾された遺伝子も、次の世代に伝わる。生みの親より育ての親は、遺伝子的にも正しいと言えそうである。

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