ジャニーズタレントのスキャンダルが一部週刊誌のみしか扱わないことからも分かるように、ジャニーズ事務所は業界きっての厳しい情報統制で知られている。その「抑止力」が、中居くんたち4人の「クーデター組」にこれまで同様に適用されるというのは疑わしい。事務所の威光が消えた人気者は芸能マスコミの格好の餌食だ。ベッキー的な致命的スキャンダルが発覚して、ファン離れという最悪のシナリオもなくはない。
事実、加藤氏がそうだった。「加藤の乱」から1年ほどが経過してから、大手芸能事務所の脱税事件にからみ金庫番だった秘書が逮捕され、議員辞職へと追い込まれた。その後、政界復帰を果たすも「堕ちたプリンス」のイメージを拭うことができず、支援者の心が離れて2012年に落選。政界を去っている。
そんな加藤氏とともに「敗残兵」のそしりを受けた山崎氏は、『日本経済新聞』(2015年9月13日)のインタビューで当時を振り返り、「一番おそろしいのは小泉氏だ」と述べた。
「加藤の乱」からおよそ20日後、山崎氏の誕生パーティが催されたが当然、政治家はほとんど来なかった。そこへ小泉氏が乗り込んで来たのであいさつをさせたところ、こんな言葉を口走ったという。
「YKKは友情と打算の二重構造だ。みなさんは私が友情でこの場に来たと思うでしょう。そうじゃありません。私は打算で来ました」
山崎氏は「あれは次は自分が(首相に)なるという意味だった」とみている。要は、ポスト森に最も近いといわれた加藤氏が失脚したので、次はこの自分を応援しろと言いたかったのではないのか、というわけだ。
小泉氏と木村拓哉さんが妙にオーバラップする今、個人的には「SMAPも友情と打算の二重構造」だったのではないかと感じてしまう。
もしそうだとすれば、草なぎくんの「木村くんのおかげでここに立てています」というのも全く違う意味をもつ。もしやあれは、「敗残兵」にしたてあげられた4人の精一杯の反抗ではなかったか。「一番おそろしいのは木村くんだ」というメッセージの裏返しではなかったのか――。
中居くんたち4人が加藤氏たちと同じ道を辿(たど)らないことを、心から祈りたい。
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで100件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。
著書は日本の政治や企業の広報戦略をテーマにした『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。
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