「最恐の殺人地域」を救うことができるのか 武器は日本の意外な“文化”世界を読み解くニュース・サロン(2/5 ページ)

» 2016年02月04日 08時00分 公開
[山田敏弘ITmedia]

中南米の惨状が改めて浮き彫りに

 まず基本的な情報として、毎年、確定しているだけで世界で約44万人が意図的な殺害行為によって命を落としている。つまり世界的に見ると、10万人につき6人が殺人の被害にあっていることになる。

 そして全世界で起きる殺人事件の3分の1は、中南米とカリブ海地域で発生している。世界の人口分布を見ると、中南米とカリブ海地域が占めるのはたったの8%ほどに過ぎないのにもかかわらず、だ。

 CCSP-JPの最新調査「世界で最も暴力的な都市2015年」を見てみたい。この調査は、世界で人口30万人以上をもつ都市で起きた犯罪を調べ、ランキングにして世界で最も危険な都市のワースト50を明らかにしている。

 この調査では、中南米の惨状が改めて浮き彫りになった。まず世界で最も暴力的な都市は、ベネズエラの首都カラカス。人口330万人ほどのカラカスでは、殺人事件発生数が世界でも断トツの年間3946件で、10万人中120人ほどが殺人で死亡していることになる。ちなみに人口1330万人の東京(カラカスの4倍)では、殺人事件は年間130件ほどだ。

 2位はホンジュラスのサン・ペドロ・スーラ。2014年は最悪だったが、2015年はカラカスにトップの座を、光栄なことに、明け渡した。3位はエルサルバドルの首都サンサルバドルで、4位はメキシコのアカプルコ。5位はベネズエラのマトゥリンだ。

 5位まで見てきてお気づきだと思うが、ワースト5はいずれも中南米の都市だ。実はワースト10を見ても、9位に南アフリカのケープタウンがラインクインしているだけで(人口370万人で殺人は2451件)、他は全て中南米が入っている。ブラジル、ベネズエラ、コロンビア、メキシコだけで、世界全体の殺人事件の4分の1を占める。

 ワースト50都市をみると、実に、42都市が中南米カリブ海地域なのである。ちなみに都市ではなく国単位でみても、ベネズエラでは10万人中54人、ブラジルは25人で、米国でも4.7人が殺人で死亡する。日本は10万人中0.3人、欧州西部の国々でも殺人で死亡するケースは10万人中1人程度である。

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