ネットで話題の「神対応」は、本当に“神”なのかコンビニ探偵! 調査報告書(1/4 ページ)

» 2016年03月01日 08時00分 公開
[川乃もりやITmedia]

コンビニ探偵! 調査報告書:

 「タフじゃなければコンビニ経営はできない。優しくなければコンビニを経営する資格がない」……だけど、タフであり続けることも、優しくあり続けることも、簡単ではない。

 ほとんどの人が一度は利用したことがある「コンビニ」。ニュースやデータからコンビニで何が起きているのかを、推理して、調査して報告します。筆者は大手コンビニの元本部社員、元コンビニオーナー。コンビニの表と裏を見てきた者だけにしか書けないコラムはいかがですか?


 TwitterやFacebookなどのSNSで、「〇〇で神対応受けた」という投稿を見かけることがある。店員のちょっとした気遣いでお客さんが喜び感動し、その投稿を読んで店のファンが増えるということは喜ばしいことだ。

 しかし、中には「それって、本当に神対応か?」と思う投稿があるのも事実。今回は、世の中で言われている“神対応”について、筆者の経験も交えながら考えてみたい。

全額返金は「なかったコト」にするだけ

 筆者が神対応の中に入れたくないのが、「お支払いは結構です」という、いわゆる全額返金パターンだ。提供した商品、あるいは店員の対応に何かしらの不備があった場合、お金を払わないで済むというもの。飲食店などの接客サービスを行うほとんどの業態に見られる、手軽なクレーム対処法である。

 筆者がネットで見かけたのは、店員がランチセットのデザートを出し忘れてしまい、お客さんも昼休みが終わってしまうのでいまさらデザートを出されても困る、といった場面だ。このとき、店側はデザート分の料金を値引きしたのではなく、ランチセットの全額を免除したという。

 お客さんとしてはお金を払わずに済んだので、ただ「ラッキー」と思っただけかもしれないが、筆者はコレを神対応とは認めたくない。なぜなら、店側がお金を受け取らなかったということは、そのミスを含めた全てのサービスを「なかったコトにしたい」だけだからだ。

 もちろん、それを投稿した人に悪意はない。店員の気遣いに感動したとか、その対応が本当にうれしくて、思わずネットにアップしたのだろう。そして、その投稿に対する周囲の反応のほとんどは好意的で、店への称賛の言葉やファンになったというコメントもある。これには、対応した従業員や店も喜んでいるに違いない。

 ところが、よく考えてみると、この“神対応”が全面に出ると好ましくない環境を生み出す恐れがあるのだ。

(写真と本文は関係ありません)
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