文章力が向上しなかった原因の1つは、テンプレート方式に代表される文書支援システムにある。
企業にとって文書は必要不可欠だ。そこで、誰でも容易に文書作成ができるように、どのような内容をどのような順序で書けばよいかを指示するテンプレート方式が開発された。優れた方式であり、多くの企業が利用し、形式の整った文書が作られるようになった。ところが、ここに落とし穴があった。
例えば、企画書を作成するときに、「目的」「実施内容」「効果」などを書きこむことを指示するテンプレートがあったとしよう。このとき、文書を作る人の多くは文章全体ではなく、項目ごとに情報が不足しないようにと考えてしまう。すると、「効果」の欄で、“目的が達成できる”ことまでも説明しようとして、こまごまと情報を書いてしまう。その結果、くどい文書ができ上がってしまうのだ。
文書全体の意味を認識し、テンプレートの役割を理解した上で使えばいいのだが、それができない。文書構成や文章の基本について理解しようとはせず、その場しのぎで解決しようとするからだ。テンプレートに頼りすぎてしまう結果、自分で文書や文章を作る力がつかない。文書作成の効率化のために採用された文書作成支援システムが文章力向上を妨げているのだ。皮肉なことである。
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