街道を走っていると見掛ける中古車買い取りの店舗。看板にあるのは「あなたのクルマ高く買い取ります」の文字。その文言を疑う人もいるだろう。
今回はビジネスの側面から中古車買い取りビジネスとはどんな仕組みなのか、新車販売ディーラーがそれにどう対応していくべきかを考えてみたい。
まずは、中古車買い取り店とは何をしているのかということから始めよう。中古車買い取り店は、主に個人ユーザーから中古車を買い取り、それをオークションに流す。つまり中古車ビジネスの一番上流に位置する。その先にはオークション業者があり、次に中古車販売業者がいる。
ただし、中古車という商品の性質上、このルートは必ずしも1つではなく、いろいろなケースがある。ユーザー自らが「ヤフオク!」などのネットオークションなどで直接売る場合もあるし、新車購入の下取りでディーラーに入ったクルマを、ディーラーが認定中古車として売る場合もある。
しかし中古車の場合、根本的に難しいのは、一台一台の価値が違うということだ。メーカーが製品検査を行い、基準を定めて売る新車と違って、ひとつとして同じクルマはない。同じに見えて実は違うということは、そこには投機的な損得が発生しやすい。こういう場面で「目利き」ができれば、利益が出るというのは商売の基本である。その成果として、中古車買い取り店は、多くのケースでディーラーの買い取り価格よりはるかに高い査定を顧客に提示できるのである。クルマによるのはもちろんだが、10万程度の差額が付くのは決して珍しいことではなく、高額なクルマでは50万円以上、限定モデルなどの場合は100万円級という例も目にしたことがある。
さて、その目利きとはどういうことか? 例えば新車の場合、基本的にどんな色だろうが値段は一緒だ。もちろん塗料が高価だとオプション料金が発生する場合がある。新車の場合、価格差を左右するのは原価である。しかしこれが中古車になると話が変わってくる。どんなに高価な塗料が使われていようが、人気がなければ売れない。原価で見れば最も安いただのソリッドの白塗装が、メタリックやマイカのような手の込んだ塗装より高く売れることが十分起こり得るのだ。
そしてこれは塗装色だけの話ではない。クルマにはグレードがあり、装備がある。中古車業界では知られた話だが、サンルーフが付いているとオプション価格の差以上に高評価されたりする。こういうさまざまな装備がどう加点されて、最終的に落札価格がいくらになるかということがビジネスにとっては重要な目利きの要素になる。
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