ショーンKは本当に“いい人”なのか 嘘で成功した人たちの「共通点」スピン経済の歩き方(4/5 ページ)

» 2016年03月22日 08時00分 公開
[窪田順生ITmedia]

経歴詐称をする人によくみられる特徴

 川上さんにも同様のことがいえる。交流をもつ人たちの中で川上さんを悪く言う人はほとんどいない。スポーツジム仲間であるタレントの下田大気さんは、「物腰はすごく低く偉ぶらず好印象だった」と評価しているし、キャスターの堀潤さんもNHKを辞めたときに、真っ先に心配をして駆けつけてくれたことで「ファン」になったとテレビ番組でおっしゃっていた。

 そう聞くと、川上さんは「いい人」なんだろうなと思うだろうが、実はこれも経歴詐称をする人によくみられる特徴だ。ウソで固めたキャリアをもつ人はその「後ろめたさ」から敵をつくらない。そこでどうするかというと、絵に描いたような完璧な「いい人」を演じる。経歴詐称が露呈しないように努力をするのと同じように、「あいつは怪しいぞ」と疑惑の目を向けられぬよう、誰からも愛される「キャラづくり」をするわけだ。

 事件取材をしていた時、詐欺師やらとよく会ったが、「見るからに怪しい」という人はまずいなかった。腰が低く、誠実そうで、誤解を恐れずに言うと、スゴ腕の詐欺師であればあるほど「人間的魅力」に溢れた人が多かった。頭の回転も良く、人の心をとらえることに長けているからだ。

 川上さんを詐欺師扱いしているわけではないが、彼の「いい人キャラ」と、これまで見てきた詐欺師の「人あたりの良さ」がデジャブというか妙にかぶってしまうのだ。

 『MBA講義生中継 経営戦略』の中で、川上さんは一言も自身で、MBAを取得したとかは明言していない。著者プロフィールでも一切どこそこでMBAを取得したとかの言及はない。

 よくこれでMBA講義という本が出せたなと驚く一方で、おそらくこれは川上さんなりの「リスクヘッジ」だったのではないかと思っている。

 これならば「お前、MBAホルダーじゃないだろ」というツッコミがあっても、「いや、私は講師をしただけですし、どこにもそんなことを言ってませんよ」と逃げがうてる。

 こういう「用心深さ」も、詐欺師とこれまた妙にかぶってしまう。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.