土肥: ところで、田村先生は駅の構造を分析されていますが、鉄道がお好きなんですか?
田村: いえ、鉄道のことは詳しくありません。近代建築を学んできまして、近代建築というのは「建物が合理的・機能的である」ことが特徴なんですよね。学生時代に、新宿駅を利用していたのですが、普段利用しないところを入ったときに、迷ってしまったんですよ。そのとき「あれ? 新宿駅は近代建築なはず。近代建築は合理的・機能的でなければいけないはずなのに、なぜ迷うんだろう?」と考えたことがきっかけで、駅の構造を分析することに。
土肥: 分析したところ、駅の構造は合理的・機能的だった?
田村: はい。駅としては理想的な構造をしているんですよ。でなければ、1日364万人もさばくことができませんからね。
でも、多くの人が迷う。なぜか。設計上は問題はないのですが、実際に利用してみると、使い勝手が悪い部分がどうしてもでてくるんですよね。
土肥: 例えば?
田村: 新宿駅を東西に行き来できれば便利だろうなあと思ったことがありませんか?
土肥: 思います、思います。大きな駅がドーンと構えていて、東から西または西から東に行くときには、遠回りしていますよ。JR新宿駅の構内って通れませんよね?
田村: 北連絡通路と中央連絡通路があるのですが、いずれも改札内なので、ここを通るには切符が必要になります。不便だなあと感じていた人が多いと思うのですが、こうした問題が解消される予定なんです。
東口改札と西口改札を結ぶ北連絡通路を拡幅して、東西に人が移動できる通路になるんですよね。2020年完成予定なのですが、この通路が完成すると人の流れがかなりスムーズになるはず。
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