「イジメ」「逆風」に屈しなかったイチローのスゴさ赤坂8丁目発 スポーツ246(1/4 ページ)

» 2016年03月24日 06時54分 公開
[臼北信行ITmedia]

臼北信行(うすきた・のぶゆき)氏のプロフィール:

 国内プロ野球、メジャーリーグを中心に取材活動を続けているスポーツライター。セ・パ各12球団の主力選手や米国で活躍するメジャーリーガーにこれまで何度も「体当たり」でコメントを引き出し、独自ネタを収集することをモットーとしている。

 野球以外にもサッカーや格闘技、アマチュアスポーツを含めさまざまなジャンルのスポーツ取材歴があり、WBC(2006年第1回から2013年第3回まで全大会)やサッカーW杯(1998年・フランス、2002年・日韓共催、2006年・ドイツ)、五輪(2004年アテネ、2008年北京)など数々の国際大会の取材現場へも頻繁に足を運んでいる。


今シーズン、イチローは金字塔を打ち立てるかもしれない(出典:マイアミ・マーリンズのFacebook)

 マイアミ・マーリンズのイチロー外野手がメジャー16年目のシーズンで金字塔を打ち立てる可能性が高まっている。メジャー通算3000本安打まで残り65本。達成すれば、史上30人目の快挙となる。

 これまで積み上げてきたメジャー通算2935本安打は現役選手の間でも、3070本を放っているニューヨーク・ヤンキース主砲のアレックス・ロドリゲス内野手に次いで2位。日米通算でカウントすれば、メジャー通算最多安打を誇るピート・ローズ氏(シンシナティ・レッズなどでプレー)の4256安打にもあと43本にまで迫っている。今年で43歳を迎える「超人」には、ただ敬服するしかない。

 これまでもイチローは数々のメジャー記録を更新してきた。2004年にはシーズン最多安打記録の262本をマーク。2001年から2010年まで10年連続でシーズン200本以上の安打を放ち、それまで「10回」で1位だったピート・ローズ氏に並んでタイ記録となった。シアトル・マリナーズ時代に築き上げたこれらのイチロー伝説の1ページに、今季もまた新たな偉業が加筆されようとしている。

 それにしてもイチローの経歴をもう1度振り返ってみると、改めて驚かされる。日本プロ野球のオリックス・ブルーウェーブでの9年間のプレーを経て27歳から日本人野手としては初のメジャーリーガーとなり、他の米国籍選手よりも明らかに遅いスタートであったにも関わらず驚異的な順応と進化を遂げ、次々とメジャー記録を更新していったのだ。ちなみに、その27歳でルーキーイヤーとなった2001年シーズンでは史上2人目となるアメリカン・リーグ新人王と年間MVPの同時受賞を果たしてもいる。人間離れと評するよりも、異次元レベルと言ったほうがいいかもしれない。

 しかしながら、そのイチローも海を渡った直後は人知れず苦労を味わっていた。イチローのルーキーイヤー当時、マリナーズで監督を務めていたルー・ピネラ氏は「彼はさまざまなすさまじい困難に直面しながらも見えない努力を重ねることで、それを克服していた」と述懐している。

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