「イジメ」「逆風」に屈しなかったイチローのスゴさ赤坂8丁目発 スポーツ246(3/4 ページ)

» 2016年03月24日 06時54分 公開
[臼北信行ITmedia]

イチローを認めざるを得なかった

 移籍当初、陰口をたたく一部のチームメートに、イチローはあいさつをしても無視されたり、舌打ちをされたりと今では考えられないような屈辱も受けていたという。メディアに開放される時間が終了した後のクラブハウス内では、彼を偏見の目で見る一部の選手同士が本人の見える前で輪になって集まり、ヒソヒソ話をするシーンも時に見受けられたと聞く。

 つまり、その一部の選手たちはクラブハウス内に大勢集まっていた日本のメディアが立ち去るのを確認してから、一部始終を報道されないように見えないところでイチローに姑息な嫌がらせをしていたのである。まだ英語が満足に話せず自分が日本人であることで、この入団当時のイチローは陰湿な「イジメ」を受けていたのだ。

 そういう意味で同じチームメートに日本人メジャーリーガーの先輩で「大魔神」ことチームの守護神・佐々木主浩氏が在籍していたことは、かなり精神的に助けられた部分もあったようだ。それでもイチローは佐々木氏やチームに属する他の日本人スタッフに頼り切るようなことはせず己の力だけで、この窮地を乗り切っていった。ピネラ氏は、次のように言う。

 「スプリングトレーニング終盤になってくると、選手たちのイチローに対する接し方に大きな変化が現れてくるようになった。練習やオープン戦でウワサに違わぬ能力を見せ付けるイチローが徐々に本物であることが分かってきたからだ。そしてシーズンが開幕して、あの快進撃を見せられれば、もう誰だって彼にひれ伏すしかない。私は一部の選手が入団当初のイチローに否定的な考えを持っていたことも、もちろん知っている。でも、そんな一部の選手たちも最終的にはイチローを認めざるを得なかったんだよ」

 結果としてイチローは、このメジャー1年目の2001年シーズンで打率3割5分をマークし、ア・リーグ首位打者に輝いた。小バカにしたり、嫌がらせまでしたりしていた一部のチームメートたちを実力で黙らせた挙句、あっと言う間に「キング」へと伸し上がったのだ。前出のディブル氏が同年のシーズン終了後にほぼ自身の公約通り、真冬のタイムズ・スクエアをパンツ一枚で5分間ほど走らされるハメになったのも、米国内の反イチロー派を一斉にシュンとさせる形になった。

(出典:マイアミ・マーリンズのFacebook)

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