日本ではキーワード先行とされ、トヨタ自動車やコマツなど一部の企業だけが先進的に取り組んでいた「ビッグデータ」や「IoT(Internet of Things:モノのインターネット)」が、いよいよ実体経済に効果をもたらそうとしている。
その表れが、社会全体に流通するデータ量がさらに増加し、企業での活用が加速することを見据えて、データセンター(DC)への投資が拡大していることだ。調査会社のIDC Japanによると、既存のDC事業者の約65%、DCを所有する一般企業の約24%が今後5年間でDCに対する投資を増やすという。特にDC事業者については、膨張し続けるデータ量に対処するため、DC自体の能力の増強を重点的に行っていく意向である。
その結果、2015年に1兆429億円だった国内DCサービス市場は、年間平均成長率6.7%で推移し、2019年には1兆3386億円になると同社は予測する。この成長市場に新規参入するDC事業者も増えるなど、今、同ビジネスは活況を呈しているのだ。
ただし、現状の日本のDCには大きな課題も存在する。それが東京を中心とした首都圏への集中である。
富士キメラ総研の調べでは国内DCの約63%が東京圏に集中している。その背景には、企業がDCを選定する上で、トラブル時にすぐ駆け付けられるという交通の利便性が重視されているからだ。加えて、地方と比べてネットワーク回線が整備されていたことも大きかった。
ところが、2011年の東日本大震災以降、この首都圏一極集中が企業のみならず、日本にとっても深刻なリスク要因となった。言うまでもなく、首都圏直下型地震などの大規模災害が発生すれば、多くのDCが停止して企業のみならず、日本経済が大混乱に陥ってしまう可能性が高いからだ。そこで震災後には、DR(災害復旧)やBCP(事業継続計画)を目的に、地方へDCを移設する企業も出てきたが、依然として大多数が首都圏にある状況は変わらない。
さらには、環境配慮の面からも東京へのDC集中が問題になっている。DCは莫大な電力を消費し、二酸化炭素(CO2)などを排出する。そのため東京都ではDCがもたらす温室効果ガスの削減が従来から課題となっていた。そこで2015年5月、環境に配慮したデータセンターの普及と省エネ推進に向けて、東京都は地方のDCに移設した企業に対して移設費用の一部を助成する取り組みを開始したのである。
このような状況を受け、DCの地方分散化が追い風となっている。その時流に乗ったのが新潟県である。
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