舛添知事の“お金”の使い方に、なぜ不満を感じるのか世界を読み解くニュース・サロン(4/6 ページ)

» 2016年05月19日 07時38分 公開
[山田敏弘ITmedia]

都民に成果を報告しなければいけない

 では舛添知事の場合はどうか。前出の有能な知事2人と比べて、舛添知事が気前良く払っている出張費が、ずばぬけて高いことが分かる。舛添知事のビックリ海外出張を報じる英字メディアも「クレイジーな額の公金を費やす」「就任から2年で海外出張費が2億1300万円」「ファーストクラス好み」などと報じている(参照リンク)。

 ワシントン出張で、宿泊先のスイートルームというプライベート空間に米国の要人が来る可能性は非常に低いと思うが、ただ同時に、人にはそれぞれのビジネススタイルがあることも理解できなくはない。もしかしたら舛添知事は、ビジネス相手の心をつかむためにプライベート空間に要人を招待してリラックスした雰囲気でもてなす、というスタイルなのかもしれない。

 ただそうだとしても、大事なのはその出張が東京にどれだけの利益をもたらすのか、ということである。6975万円の欧州出張で、東京都にはどんな恩恵があるのか。ビジネスの戦略も勝算もなく、ただイメージアップという漠然とした目的なら、世界的な有名人でもない舛添知事が行く必要はないし、視察に大名行列はいらない。米国の知事たちのようにビジネスチャンスをつかむためなら、都民にその見込みや成果をきちんと具体的に説明する必要がある。

 もしかしたら進行中のプロジェクトについては口外できないのかもしれない。だが、例えば、サウスカロライナ州のニッキー・ハーレー知事は、2014年に10日で5万6000ドル(610万円)を使ってインドをビジネス目的で訪れたが、目に見えた成果は出せなかった。それでも、その出張によって得た30件のビジネス計画を検討していると説明した。詳細ではないが、最低でもそういう成果報告は必要だろう。

 舛添知事は4月22日の定例会見で、米国出張の成果を問われてこう語っている(参照リンク)。

 成果は、自分の方で、「こんなにやって、ほら、どうだ」というような類のものでもないかなと思っているので、それは、ほかの人が、皆さん方を含めて、それから、今回だとニューヨーク、ワシントンの方々が、「ああ、これは良かったね」「ここは成果があったね」とか言ってくださることが本義なので、自分で「こうやって、これで、すごいだろう」と言う気は全然ないので、そこはご理解いただければと思っています。

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