カタールの衛星テレビ局「アルジャジーラ」が2015年に製作したドキュメンタリーでは、記者がアフガニスタンに潜伏するIS戦闘員たちへの接触に成功している。ある戦闘員は、もともとパキスタンのイスラム過激派組織「ラシュカレ・トイバ」のメンバーだったが、最近、同組織が活発に動けなくなっているために、アフガニスタンに入りISに加わった。つまり、アフガニスタンやパキスタンでテロ活動が鈍化していることに不満をもつ過激派たちがISに参加しているという。
そしてISはタリバン司令官などをお得意のビデオカメラの前で残酷に殺害しながら、じわじわと存在感を高めている。一方でISの拡大に対抗するために、タリバンはイランに協力を求め始めているとの話も出ている。
このドキュメンタリーの中で、あるタリバン元幹部はこう語っている。「タリバンは『われわれはアフガニスタンの主張する領土で独立するために戦うのであって、ロシアや米国を攻撃したくはない』と言う。だがISは、『われわれは米国を攻撃するし、ほかの地域もどこでも攻撃する。ひとつのイスラム国家、つまりカリフ(イスラム教の開祖であるムハンマドの正統な後継者)の率いるイスラム国家を欲しているのだ』と言っている」
要はタリバンを巻き込みながらその脅威を国外にも広げようとしているのだ。
フランス・パリやベルギー・ブリュッセルで起きたテロ実行犯たちの中にはシリアでISの訓練を受けた後に欧州に戻った者もいた。今後は、シリアやイラクから帰国したような人たちだけでなく、アフガニスタンやパキスタンで訓練を受けて欧米や日本にも入国するISの過激派も出てくる可能性がある。例えばテレサ・メイ英内務大臣は、英国でも800人以上の若いイスラム系英国人がシリアとイラクでISに参加し、そのうちの半分は英国に帰国していると明らかにしているが、今後はアフガニスタンやパキスタンなども注意したほうがよさそうだ。
ただ最近、アフガニスタンで米軍がISを狙った空爆を実施していることもあって、ISの勢いが少し落ちているとの見方もある。それでも脅威であることは変わりなく、警戒しておく必要はある。
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