今知るべき国際情勢ニュースをピックアップし、少し斜めから分かりやすく解説。国際情勢などというと堅苦しく遠い世界の出来事という印象があるが、ますますグローバル化する世界では、外交から政治、スポーツやエンタメまでが複雑に絡み合い、日本をも巻き込んだ世界秩序を形成している。
欧州ではかつて知的な社交場を“サロン”と呼んだが、これを読めば国際ニュースを読み解くためのさまざまな側面が見えて来るサロン的なコラムを目指す。
最近、テロ組織にからんだ大きなニュースがあった。
米国防総省は5月21日、イスラム原理主義勢力タリバンのリーダーであるアクタル・マンスール師が、米軍の無人戦闘機による爆撃で死亡したと明らかにしたのだ。
このニュースは世界中で大々的に取り上げられているが、日本には少し遠い話題ということもあってか、あまり大きくは報じられていない。ただ日本も、こうしたテロの脅威に関連するニュースを、対岸の火事だと片付けるべきではないかもしれない。テロ組織の動向を知ることは、東京で2020年に五輪を控えている日本にとっても無意味ではないはずだ。
実はここのところ、世界的にテロ組織の状況に変化の兆しがあるとの見方が出ている。そして複雑化するテロ組織の動向をめぐって、この先に世界が直面するかもしれない恐ろしいシナリオを指摘する者もいる。日本もその警告を無視できないかもしれない。
まず冒頭に触れたタリバンは現在、過渡期にあると言える。2001年の米同時多発テロ後に米軍が対テロ戦争を行ってきたアフガニスタンでは、2014年に米軍などによる戦闘が終結してからも、タリバンによるテロ攻撃が続いている。タリバンと戦うアフガン兵を後援するために残る米兵の数は現在、1万人以下に減っている。
2015年にはアフガン政府が、タリバンの創設者で最高指導者オマル師が2013年に死亡していたと表明して大きなニュースになった。そして今回、オマル師の後継者になったマンスール師が殺害されたため、すぐにタリバンは新しい最高指導者としてハイバトゥラー・アクンザダ師を指名した。
そして今、シリアとイラクで猛威を振るう「IS(いわゆる「イスラム国」)」がアフガニスタンにも入っており、東部を中心に暗躍している。
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