イチローが「日本人のアイデンティティー」にこだわる理由赤坂8丁目発 スポーツ246(2/4 ページ)

» 2016年06月15日 11時52分 公開
[臼北信行ITmedia]

日本プロ野球はまだまだ格下

 こうした論争が沸き起こっている現状を耳にすると、やはり日本プロ野球はまだまだ米国内においてメジャーリーグよりも格下に見られているという印象が拭えない。

 過去3回開催されている「WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)」でも日本は2006年の第1回、2009年の第2回で連覇を達成し、世界レベルでの強さを誇示してきた。それでも米国内のファンの大半は「日本の野球が一番強い」と思ってはいない。WBCは米国内のファンにほとんど浸透しておらず、しかも各メジャーリーグ球団からの理解も得られていないことから、有力選手不在の米国代表チームなど最強軍団ではないとの見方が大勢を占めているのが現状だからだ。

 メジャーリーグこそが世界最高峰のプロ野球リーグ――。そう当たり前のように認識している人は米国にもちろんのこと、日本にも数多くいる。2017年の第4回大会以降もWBCに抜本的な改革が施されない限り、同大会で日本がいくら結果を出そうともこの流れだけは残念ながら変わりそうもない。加えてWBCうんぬんではなくメジャーリーグ各球団の規模や資金力、選手層の厚さを日本プロ野球の各球団と比較してみても、全ての面において両者間の圧倒的な差が一目瞭然であることは疑いようのない事実だからだ。

 それでも日本プロ野球界は少しでもこの「メジャー最強論」の流れに歯止めをかけて打破しようと、これまで懸命の努力を重ねてきた。例えばメジャーリーグでア・リーグとナ・リーグのチャンピオンチームが対戦する1年に1度の「ワールドシリーズ」に「ここで勝ったチームが“世界一”と名乗るのはおかしい。それならばワールドシリーズに日本プロ野球で日本シリーズを制したチームも加わるべきだ」とイチャモンを付けた日本プロ野球の有識者は何人かいる。

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