なぜテレビ局はダメになったのか? 変わる視聴率競争消費トレンドから見る企業戦略の読み解き方(3/7 ページ)

» 2016年06月21日 08時00分 公開
[菅野守ITmedia]

放送業界を取り巻く旧来の業界構造

 放送業界の歴史を振り返ると、日本初のラジオ放送が始まったのが1925年。民間のラジオ放送は1951年、テレビ放送は1953年にスタートした。

 開業当初から放送にはアナログ信号の無線電波が用いられた。地上テレビ放送では、映像という情報量の多いデータを送るために、超短波(VHF:30MHz〜300MHz)や極超短波(UHF:300MHz〜3GHz)といった、比較的高い周波数帯の電波が利用された。アナログ信号を用いて高周波数帯の無線電波を送るには、当時としては高い技術水準が要求され、必要な設備なども高価なものだった。

 限られた資源である無線電波の公共性を考慮し、放送事業は国による免許制がとられてきた。免許による規制と、放送の技術的制約に伴う固定費の高さが、放送事業への参入障壁を作り、放送業界の寡占構造を形成、維持してきた。

放送業界と新聞業界の強い結び付き(写真はイメージです) 放送業界と新聞業界の強い結び付き(写真はイメージです)

 放送業界の寡占化を生んだもう1つの力は、新聞業界だ。民放キー局は、大手新聞社を大株主として設立された。日本テレビ系列は読売新聞、フジテレビ系列は産経新聞、テレビ朝日系列は朝日新聞、TBS系列は毎日新聞というように、民放キー局は人事などの面でも新聞社との結び付きが強い。

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