セブンのドミナント戦略が、沖縄では通用しない理由スピン経済の歩き方(3/6 ページ)

» 2016年07月05日 08時00分 公開
[窪田順生ITmedia]

ファミリーマートとローソンに共通する点

 この2つの沖縄企業に共通しているのは、セブン顔負けの「ドミナント戦略」でその勢力を拡大してきた点にある。

 例えば、サンエーは県内で小売店舗66、外食レストラン14を運営しており、そこには東急ハンズ、無印良品、ジョイフル、タリーズ、ピザハット、マツモトキヨシ、家電量販店のエディオンなど、大手チェーンとフランチャイズ契約を結んだものも多く含まれる。

 錚々(そうそう)たる企業がパートナーに選ぶのは、「スーパーサンエー」が全国の中でもトップクラスの高い利益率を誇り、「勢いのあるスーパー」として店舗を拡大してきた「実績」によるところが大きい。

 沖縄の消費者が何を求め、どう動くのかを知り尽くしたうえで商圏内の勢力を塗り替える。つまり、「沖縄流ドミナント戦略」を体現してきた企業なのだ。それは同社のWebサイトに誇らしげに語られるこの一言からもうかがえる。

 『本土の市場環境とは一線を画す沖縄の市場。そのような文化的背景や地理的要因を考えた上で、独自のドミナント戦略を確立させています』(サンエー公式Webサイト)

 では、「沖縄独自のドミナント戦略」とはなんだろうか。

 もちろん、部外者に簡単に分かるものではないがゆえに「独自」なのだが、それを読み解くヒントのひとつに「ポイントカード」がある。

 実は、沖縄はTポイントカードが非常によく普及している。2015年1月現在のデータだが、県内会員は78万人。県民の55.1%の所有率ということで全国でも五指に入るほどだという。TSUTAYAが際立って多く乱立しているというわけでもないのに、なぜ沖縄の人はここまでTポイント好きなのか。

 もうお分かりだろう、ファミリーマートの影響だ。

 「沖縄のコンビニ」として日常生活に根付いていることが、日本有数のTポイント先進国をつくったのではないかと言われているのだ。事実、ファミリーマートで展開する「ファミマTカード」の沖縄の保有率は全国一となっている。

ファミリーマートは沖縄独自のドミナント戦略を展開している

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