7月に入り、夏真っ盛り。気象庁の「向こう3カ月の天候の見通し」(2016年6月24日発表)によると、今年の夏も暑いようです。
近年、熱中症など、気温が高い時期の心配事が増えました。そこで、温暖化による月別死亡率への影響について少し分析してみました。
既にご承知の方が多いと思いますが、平均気温は上昇傾向にあり、近年その上昇スピードまで高まっています(図表1)。天気の季節予報などで「平年並」との比較が行われますが、気象庁は平年並を、過去30年のデータを用いて算出しているようです。
これほど気温の上昇傾向が確認できる状況で、過去30年のデータから算出された平年並と比較することにどれほど意味があるのでしょうか。平年並より高いのが当たり前、平年並より低いといったニュースにしか価値がないのではないでしょうか。このように疑問に思うのは私だけではないはずです。
そんな状況が続く中で、最近は春から秋にかけて熱中症による不幸なニュースを見聞きする機会が増えました。実際のところ、平均気温の上昇は夏と冬の危険度に変化をもたらしたのでしょうか。
厚生労働省が発表する月別死亡率(人口千対)は、過去から一貫して夏より冬の方が、死亡率が高いことを示しています(図表2)。インフルエンザなどの影響もあるでしょうが、寒さや寒暖差による血圧への影響が大きいようです。
一方、夏の危険度が相対的に増している(冬と夏の死亡率の差が小さくなっている)ことも確認できます。気温の上昇スピードが比較的緩やかだった1955年〜1960年と、近年(2010年〜2014年)では明らかに異なります。
さらに、冬(1月、2月)と残暑が厳しい9月に着目すると、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)設立前の1980年〜1984年との比較でも同様の傾向が確認できます。住宅性能や暖房設備の向上による冬場の寒暖差の緩和による影響も大きいでしょうが、やはり夏場の熱中症は忌むべきもの。各国の識者、為政者が力を合わせ、温暖化に歯止めをかけてくれることを祈るばかりです。
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