阪神・金本監督のスパルタ式は、やっぱり時代錯誤なのか赤坂8丁目発 スポーツ246(1/4 ページ)

» 2016年07月14日 08時00分 公開
[臼北信行ITmedia]

 プロ野球の阪神タイガースが悪戦苦闘を強いられている。ブービー争いの直接対決となった7月12、13日のヤクルト2連戦(神宮)には何とか連勝。最下位脱出を果たしたものの借金は依然として2ケタの「10」で、前半戦をBクラスの5位で終えた。首位を独走する広島東洋カープには14.5ゲーム差と大きく引き離されており、自力Vも球宴を前に消滅してしまっている。

 今季から新指揮官に就任した金本知憲監督は「超変革」をテーマとして訴え、ぬるま湯に浸り気味だったチームの改革を進めようと連日厳しい姿勢でタクトを振るっている。しかし結果が伴わない。その手腕に大きな期待を寄せていたはずの虎党の中からは早々と金本批判まで飛び交い始めている状況だ。

 7月9日に本拠地・甲子園球場で行われた広島戦ではエースの藤浪晋太郎投手に課した「懲罰登板」が大きな波紋を呼んだ。すでにネット上でも数多く報じられているのでご覧になった方も多いと思うが、状況説明のためにここで改めて振り返っておきたい。

 この試合で藤浪は立ち上がりから制球に苦しみ初回に2つの四球が絡む形で3失点。さらに自滅による失点に怒りを爆発させた金本監督はエースの自覚を促す意味で、3点差に追い上げていた7回の第3打席でも藤浪に代打を送らなかった。この時点ですでに球数が130球を超えていた藤波の投球は明らかに本来の姿ではなく、その直後の8回にも再び崩れて致命的な3失点。チームは2-8で大敗を喫したものの藤浪は結局8回7安打8失点で最後まで投げ切り、投球数は何と161球にも達した。

 現代プロ野球においては一般的に「5回100球」が交代のメドとされている。しかも大差の付いた負け試合で先発投手が“完投”するケースはいかなる状況があろうとも、まずあり得ない。それを考えれば、藤浪の投じた161球がいかに異常な数字だったかがよく分かる。

 この日の試合後に金本監督は藤浪について「今日は何球投げようが、何点取られようが最後まで投げさせるつもりだった」「ストライクが入らず、取りに行って打たれて……」「これで一体何度目なのか。何も変わってないことを感じないといけないと思う」などとコメントしたことからも、これが「懲罰登板」だったのは明白だ。

金本監督の采配をめぐって批判の声が(出典:金本知憲公式サイト)
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