あたかも自分がその場にいるような体験ができるVRにおいて、中島氏が最も期待を寄せているコンテンツが「スポーツ観戦」だ。
実はいま、360channelにスポーツコンテンツはない。VRカメラの性質上、少し距離があるものを撮影すると画質が荒くなってしまうため、カメラの設置場所などを含めて研究を重ねる必要があるという。
ただ、VRの強みである臨場感は、スポーツと最も親和性がある。例えば、ベンチにVRカメラを置けば、監督の視点で試合を観戦することも可能になるわけだ。野球など、スポーツの種類によっては審判にVRカメラを取り付けても面白いかもしれない。
「スポーツコンテンツはポテンシャルが大きい分、研究を重ねて慎重に取り組んでいきたい。VRの生放送も数年で実現できるようになるので、五輪・パラリンピックをVRで見るような未来は十分にあり得る」(中島氏)
実際、海外ではベンチャー企業が、NBAなどのスポーツ中継をVRで観戦する「VR席」を提供しており、売り上げも好調だという。日本でも、会場に足を運びたくても運べない人などが、東京五輪・パラリンピックをVR席で見るような時代がきてもおかしくはないだろう。
一方、ビジネスとしてはまだまだこれからというのが現状。中島氏は「ネットのビジネスと同じで、ユーザーをある程度集めることができれば、課金や広告などの方法で収益を上げられる。ただ、とにかく今はユーザーを集める時期であり、マネタイズはその後の話」と話す。
「今年は主要なHMDがようやく出そろうVR元年。端末の普及もこれからなので、端末の普及もこれからなので、ビジネスとして成り立つのは2〜3年後になるでしょう」(中島氏)
VR市場が立ち上がってから、まだまだ日は浅い。しかし、市場は今後間違いなく盛り上がっていく。市場調査会社TrendForceの調査レポートによると、ハードウェア、ソフトウェアの両方を合計した世界のVR市場規模は2020年までに700億ドル規模に到達するという。
人気が爆発する時期に備え、コンテンツも年内中には倍の量に増やしていくとしている。目指すのはVRテレビのリーディングカンパニー。
「日本は米国と比べ、VRビジネスを展開する企業もまだまだ少ないです。しかし、日本には技術力があるので、一度盛り上がればすぐに米国を追い越せるでしょう。そのとき、リーディングカンパニーとして日本のVRビジネスを引っ張っていけるように準備していきます」(中島氏)
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